遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

#読書/ミステリー

お薦めミステリ/東山彰良×池上冬樹

読書週間が始まった日(2015年10月27日)の朝日新聞の特集が、「さぁ、言葉の迷宮へ 東山彰良さん×池上冬樹さん対談 秋の読書特集」だった。 東山彰良は、先の直木賞を審査委員の満場一致の大絶賛で獲得したばかり。彼の受賞作「流」は、文庫本なってから読…

特捜部Q“キジ殺し”/ユッシ・オールスン

特捜部Q ―キジ殺し― ユッシ・エーズラ・オールスン 吉田薫・福原美穂子 (訳) (ハヤカワ・ミステリ文庫) デンマークの警察小説「特捜部Q」シリーズの第2弾、「キジ殺し」を読了。 はみ出し刑事のカール、中東からやってきた助手アサドに加えて、ローセとい…

その女アレックス/ピエール・ルメートル

その女アレックス ピエール・ルメートル 橘明美 (訳) (文春文庫) ミステリー愛好家界隈では、話題の1冊だった「その女アレックス」を読了。 ミステリーとしては珍しいフランス製の小説で、怪盗ルパンシリーズのモーリス・ルブランを読んだことのない私には、…

特捜部Q ―檻の中の女/ユッシ・オールスン

特捜部Q ―檻の中の女― ユッシ・エーズラ・オールスン 吉田奈保子 (訳) 〔ハヤカワ文庫〕 デンマークの小説を初めて読んだ。翻訳者はドイツ文学者なので、おそらくデンマーク語をドイツ語訳された本書「特捜部Q」を邦訳したと思われる。本書は、ドイツでは大…

背後の足音/ヘニング・マンケル

背後の足音 (上・下) ヘニング・マンケル 柳沢 由実子 (訳) (創元推理文庫) スウェーデンの警察小説、刑事ヴァーランダーシリーズの第7弾「背後の足音」のご紹介。(第6作の「五番目の女」を順番を間違えて飛ばしてしまった。) 今回は、シリーズきっての凶…

黒い氷/オーサ・ラーソン

黒い氷 オーサ・ラーソン 松下祥子 (訳) ハヤカワ・ミステリ文庫 スウェーデンのミステリ小説「黒い氷」のご紹介。 1966年生まれのスウェーデンの元弁護士の女性作家オーサ・ラーソンの、「オーロラの向こう側」「赤い夏の日」に続く第3弾がこの「黒い氷」。…

コフィン・ダンサー/ジェフリー・ディーヴァー

コフィン・ダンサー〈上・下〉 ジェフリー・ディーヴァー 池田 真紀子 (訳) (文春文庫) 【あらすじ】 FBIの重要証人が殺された。四肢麻痺の科学捜査専門家リンカーン・ライムは、「棺の前で踊る男(コフィン・ダンサー)」と呼ばれる殺し屋の逮捕に協力を要請…

百番目の男/ジャック・カーリイ

百番目の男 ジャック・カーリイ 三角 和代 (翻訳) (文春文庫) あらすじ 連続放火殺人を解決、異常犯罪担当部署に配属された刑事カーソンには秘密があった。誰にも触れられたくない暗い秘密だ。だが連続斬首殺人が発生、事件解決のため、カーソンは過去と向き…

赤い夏の日/オーサ・ラーソン

赤い夏の日 オーサ・ラーソン 松下祥子 (訳) (ハヤカワ・ミステリ文庫) 内容紹介 【スウェーデン推理作家アカデミー最優秀長篇賞受賞】 悲惨な事件に巻込まれ、心に傷を負ったままのレベッカは、職務に復帰した法律事務所で空虚な日々を送っていた。そんな彼…

ボーン・コレクター/ジェフリー・ディーヴァー

ボーン・コレクター〈上・下〉 ジェフリー・ディーヴァー 池田 真紀子 (訳) (文春文庫) ジェットコースター・サスペンスの王道を往く傑作とのふれこみで登場した、リンカーン・ライムシリーズの第一弾「ボーン・コレクター」。私はすでにこのシリーズの「ウ…

犯罪/フェルディナント・フォン・シーラッハ

犯罪 フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄 進一 (翻訳) 東京創元社 【内容紹介】 弁護士の「私」が遭遇した11の異様な“犯罪”。実際に起こった事件を元に、胸を打つ悲喜劇を描いた圧巻の連作犯罪文学。数々の文学賞を獲得しベストセラーとなった傑作…

ソウル・コレクター/ジェフリー・ディーヴァー

ソウル・コレクター 〈上・下〉 ジェフリー・ディーヴァー 池田 真紀子 (訳) (文春文庫) リンカーン・ライムのいとこアーサーが殺人容疑で逮捕された。アーサーは一貫して無実を主張するも、犯行現場や自宅から多数の証拠がみつかり有罪は確定的にみえた。だ…

冬のフロスト/R・D・ウィングフィールド

冬のフロスト <上・下> R・D・ウィングフィールド 芹澤 恵 (訳) (創元推理文庫) 寒風が肌を刺す1月、デントン署管内はさながら犯罪見本市と化していた。幼い少女が行方不明になり、売春婦が次々に殺され、ショットガン強盗にフーリガンの一団、“怪盗枕カヴァ…

タンゴステップ/ヘニング・マンケル

タンゴステップ〈上/下〉 ヘニング・マンケル 柳沢 由実子 (訳) (創元推理文庫) マイブログの「読書/ミステリー」書庫は、ここのところジェフリー・ディーヴァーとヘニング・マンケルのミステリーを交互に紹介している感がある。で、今回は、マンケルの小説…

追撃の森/ジェフリー・ディーヴァー

追撃の森 ジェフリー・ディーヴァー 土屋 晃 (翻訳) (文春文庫) 物語の舞台は、アメリカはウィスコンシン州(シカゴがあるイリノイ州の北側の州)。人里離れた湖畔の森の中に建つ別荘から911通報(日本だと110番+119番通報)があり通話は途中で終わってしま…

目くらましの道/ヘニング・マンケル

目くらましの道 (上・下) ヘニング・マンケル 柳沢由実子 (訳) (創元推理文庫) 《夏の休暇を楽しみに待つヴァランダー警部。そんな平和な夏の始まりは、一本の電話でくつがえされた。呼ばれて行った先の菜の花畑で、少女が焼身自殺。目の前で少女が燃える…

スリーピング・ドール/ジェフリー・ディーヴァー

スリーピング・ドール〈上・下〉 ジェフリー ディーヴァー 池田 真紀子 (翻訳) (文春文庫) 他人をコントロールする天才、ダニエル・ペル。カルト集団を率いて一家を惨殺、終身刑を宣告されたその男が、大胆かつ緻密な計画で脱獄に成功した。彼を追うのは、い…

笑う男/ヘニング・マンケル

笑う男 ヘニング・マンケル 柳沢 由美子(訳) (創元推理文庫) お行儀の良い私は、"クルト・ヴァランダー"シリーズを第1作目からこつこつと読んできて、「笑う男」は数えて第四作目にあたる。 もう今度こそ刑事を辞めようと思っていた精神的に落ち込んでいた…

解錠師/スティーヴ・ハミルトン

解錠師 スティーヴ・ハミルトン 越前敏弥 (訳) (ハヤカワ・ミステリ文庫) 主人公マイクルは、間もなく刑期を終えようとしている受刑者。もう刑務所に入って10年が経とうとしていた。 8歳の時の大きな衝撃でまったく口がきけなくなったマイクルは、絵を描くこ…

万能鑑定士Qの推理劇Ⅱ/松岡圭祐

万能鑑定士Qの推理劇供 松岡 圭祐 (角川文庫) 東京ディズニーランドが開園してちょうど30年だという。 あっという間の30年、あと30年生きたいけど無理かな、大きな地震に遭う前に逝っている方がいいかな。 ディズニーのアニメ作品で最も好きなのが「不思議の…

万能鑑定士Qの推理劇(1)/松岡圭祐

万能鑑定士Qの推理劇(1) 松岡圭祐 (角川文庫) 朝日新聞の日曜日の書評「売れてる本」コーナーで、批評家佐々木敦が取り上げたのが、 角川文庫「万能鑑定士Qの推理劇」。 主人公は、高校卒業後すぐに沖縄から東京に出てきた女の子、凜田莉子(りんだりこ)。…

白い雌ライオン/ヘニング・マンケル

白い雌ライオン ヘニング・マンケル 柳沢由実子(訳) (創元推理文庫) スウェーデンの田舎町で、不動産業者の女性が消えた。失踪か、事件か、事故か?ヴァランダー警部らは彼女の足取りを追い、最後に向かった売家へ急いだ。ところが近くで謎の空き家が爆発炎上…

リガの犬たち/ヘニング・マンケル

リガの犬たち ヘニング・マンケル 柳沢由実子(訳) (創元推理文庫) 海岸に一艘のゴムボートが流れ着いた。その中には、高級なスーツを身につけた二人の男の死体。 共に射殺。いったい何者なのか? どうやら海の向こう、ソ連か東欧の人間らしいのだが……。 小さ…

殺人者の顔/ヘニング・マンケル

殺人者の顔 ヘニング・マンケル 柳沢由実子 (訳) (創元推理文庫) 内容紹介 雪の予感がする早朝、動機不明の二重殺人が発生した。男は惨殺され、女も「外国の」と言い残して事切れる。片隅で暮らす老夫婦を、誰がかくも残虐に殺害したのか。燎原の火のように…

青い虚空/ジェフリー・ディーヴァー

青い虚空 ジェフリー・ディーヴァー (著), 土屋 晃 (翻訳) (文春文庫) [文庫] 「それは興味深い」とジレットはつぶやいた。 「私もそう思う」アンダーソンは言った。「結論を言うと、犯人は被害者のマシンにはいりこ むのに、新たなウィルスらしきものを使っ…

ウォッチメイカー/ジェフリー・ディーヴァー

ウォッチメイカー〈上下〉 ジェフリー・ディーヴァー 池田 真紀子 (翻訳)(文春文庫) “ウォッチメイカー”と名乗る殺人者あらわる。手口は残忍で、いずれの現場にもアンティークの時計が残されていた。やがて犯人が同じ時計を10個買っていることが判明、被害…

アイアン・ハウス/ジョン・ハート

アイアン・ハウス(上・下) ジョン・ハート 東野 さやか (訳) (ハヤカワ・ミステリ文庫) ジョン・ハートの小説第4作目は「アイアン・ハウス」。 アイアン・ハウスという名の孤児院で育った兄弟が物語の主人公である。 兄マイケルは、孤児院から抜け出した…

ブラッド・ブラザー/ジャック・カーリイ

ブラッド・ブラザー ジャック・カーリイ 三角和代 (訳) (文春文庫) きわめて知的で魅力的な青年ジェレミー。僕の兄にして連続殺人犯。彼が施設を脱走してニューヨークに潜伏、殺人を犯したという。連続する惨殺事件。ジェレミーがひそかに進行させる犯罪計画…

容疑者/マイケル・ロボサム

容疑者 (上・下) マイケル・ロボサム (著) 越前 敏弥 (翻訳) (集英社文庫) ロンドンにオフィスを構える中年の臨床心理士ジョーは愛する家族とやりがいのある仕事に恵まれ、人生航路は順風満帆だった。そこに思いがけない病の宣告と身に覚えのない殺人事件の…

フランキー・マシーンの冬/ドン・ウィンズロウ

フランキー・マシーンの冬 (上・下)ドン・ウィンズロウ 東江一紀 (訳) (角川文庫) サンディエゴの埠頭で店を出す、どこにでもいそうな初老(62歳)の釣り餌屋のおやじ。 名をフランク・マシアーノという。 もうこの名前だけで、ただのおやじでない匂いがぷん…