遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

豊田散歩/豊田市美術館・建物編

豊田市美術館に足を運びました。

常設展を鑑賞しましたが、その前に美術館の建物自体のご紹介します。

名古屋から車で小一時間で到着した豊田市美術館は、隣接の無料駐車場からアプローチしていくと上の画像のような光景が広がります。

建物正面の碧色のファザードがこの美術館の特徴で、やわらかい表情をして私たちを迎え入れてくれます。碧色のスレートはアメリカ産の粘板岩だそうで、素材の色をそのまま生かして縦空間を構成しています。

庭園は広大で、建築物の周辺は垂直方向に伸びた針葉樹と鋼鉄製のオブジェと丸い池が建物を引き立てています。

まだ蕾が固い遅咲きの桜が建物から遠いところに30本ほど植えられていて、あと一カ月後にはピンクの花が満開になっているはずです。

少し小高いところに建築された美術館は、豊田市瀟洒なランドマークになっていると思われます。豊かな暮らしがここにあるようで、うらやましい限りであります。

1995年に開館した豊田市美術館は、美術館建築で名高い谷口吉生の設計。庭園はアメリカのランドスケープ・アーキテクト、ピーター・ウォーカーによるものだそうです。

当館収蔵のすばらしい美術品の紹介は、次の記事に回すことにします。

「人生は戦いなり(黄金の騎士)」クリムト、ピカソなど愛知県美術館の名作コレクション

「人生は戦いなり(黄金の騎士)「」クリムト 1903年作 油彩・テンペラ・金箔、画布 寸法㎝:100.0×100.0

名古屋に滞在中に訪れたのが愛知県美術館

愛知県の美術館を検索していたら名古屋テレビ塔のそばにある当美術館を発見。しかも、洋の東西を問わないコレクションは素晴らしいものだと知りました。

ということで、いま開催中の常設展に足を運びました。

www-art.aac.pref.aichi.jp

上は、クリムトの「人生は戦いなり(黄金の騎士)」というタイトルの作品です。画像で見たことはあったのですが、「まさかここにあるとは」という出会いでした。

クリムトのイメージは、幾何学的な金屏風のような背景に描かれた柔らかな女性なのですが、この「黄金の騎士」はイメージが逆になっています。

騎士がまたがる黒い馬や背景はやわらかくて厚みのあるビロードのようですが、黄金の騎士は金箔で平面的に表現されています。

この騎士は何のためにどこへ向かうのでしょうか。ウィーンで前衛美術のリーダーだったクリムトの当時の矜持が現れているような気がします。まさに「人生は戦いなり」というタイトルをあらわす、120年前の、いろんな意味でカッコいい作品に仕上がっています。

本作は、トヨタ自動車の寄付で美術館が購入したようですが、愛知県にある美術館は資金が潤沢なのか著名な作家の作品が所蔵されていて素晴らしいことになっています。

ということで、以下に貼り付けたピカソ、ミロ、モディリアーニなどの名作も現在展示中で(4月14日まで)、スマホでの撮影も可能です。入場料一般500円、大学生高校生300円、中学生以下無料。

良いお散歩にもなりますので、ぜひお出かけください。

青い肩かけの女   作:ピカソ 制作:1902年 油彩、画布 寸法㎝:60.3×52.4

絵画  作:ミロ 制作:1925年 油彩、画布 寸法㎝:97.0×130.0

カリアティード 作:モディリアーニ 制作:1911-13年 油彩、画布・板 寸法㎝:80.5×45.0

グラスのある静物  作:キルヒナー 制作:1912年 油彩、画布 寸法㎝:100.0×74.0

待つ  作:アンリ・マティス 制作:1921-22年 油彩、画布 寸法㎝:61.0×50.0

No. 114  作:アド・ラインハート 制作:1950年 油彩、画布 寸法㎝:152.4×101.9

コンポジション  作:ニコラ・ド・スター 制作:1948年 油彩、画布 寸法㎝:81.0×60.0

静物L(アマゾーン、能面等)  作:エミール・ノルデ 制作:1915年 油彩、画布 寸法㎝:72.5×87.5

 

如来三尊仏龕 制作年 中国・北魏時代(6世紀) 技法、素材 石造浮彫 寸法㎝:79.0×48.0×13.0

 

今週の書評本 全83冊(2024/3/11~3/17掲載分 週刊9誌&新聞3紙)

毎週日曜日は、この一週間( 3/11~3/17)に週刊誌や新聞などの書評に取り上げられた旬の本を紹介しています。書評内容については各誌・HPなどをご覧ください。

今週の書評本

*表示凡例
掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数
書籍タイトル 著者.編者 出版社 税込価格 書評掲載回数(②回以上を表示)

サンデー毎日「遠回りの読書」: 3/24 号 2 冊
タイ飯、沼。 髙田胤臣 晶文社 3,520
パリの「敵性」日本人たち 脱出か抑留か 1940-1946 藤森晶子 岩波書店 2,420

女性自身「今週の本」: 3/26 号 4 冊
K+ICO 上田岳弘 文藝春秋 1,760
暇と退屈の倫理学 國分功一郎 新潮文庫 880
水脈 伊岡瞬 徳間書店 2,090
嫉妬論 民主社会に渦巻く情念を解剖する 山本圭 光文社新書 946

女性セブン
(今週号の書評はお休み)

週刊現代「日本一の書評」: 3/16・3/23 号 6 冊
方舟を燃やす 角田光代 新潮社 1,980
K+ICO 上田岳弘 文藝春秋 1,760
そして誰かがいなくなる 下村敦史 中央公論新社 1,980
なぜ東大は男だらけなのか 矢口祐人 集英社新書 1,089
トヨタ 中国の怪物 豊田章男を社長にした男 児玉博 文藝春秋 1,870
佐々々奈々の究明(上・下) 森泉岳土 小学館 各715

週刊ポスト(今週号はお休み)

週刊新潮「Bookwormの読書万巻」: 3/21 号 12 冊
のち更に咲く 澤田瞳子 新潮社 2,200
アイスネルワイゼン 三木 三奈 文藝春秋 1,980
正しき地図の裏側より 逢崎遊 集英社 1,870
奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか 広野真嗣 講談社 1,980
全員“カモ”: 「ズルい人」がはびこるこの世界で、まっとうな思考を身につける方法 ダニエル・シモンズ , クリストファー・チャブリス 東洋経済新報社 1,980
最上階の殺人 アントニイ・バークリー 創元推理文庫 1,100
わからない世界と向き合うために 中屋敷ちくまプリマー新書 880
ケア学 越境するケアへ 広井良典 医学書院 2,530
スパイスハンターの世界カレー紀行 水野仁輔、ジンケ・ブレッソン 産業編集センター 1,870
第三帝国のバンカー ヤルマル・シャハト ヒトラーに政権を握らせた金融の魔術師 ピエール・ボワスリー, フィリップ・ギヨーム他 パンローリング株式会社  4,400
JRプロトタイプ車両ビジュアルガイド レイルウエイズ グラフィック グラフィック社 3,080
紫式部の実像 伊井春樹 朝日選書 1,980

週刊文春「文春図書館」: 3/21 号 10 冊
トヨタ 中国の怪物 豊田章男を社長にした男 児玉博 文藝春秋 1,870
ユーカラおとめ 泉 ゆたか 講談社 1,925
母の最終講義 最相葉月 ミシマ社 1,980
チワワ・シンドローム 大前粟生 文藝春秋 1,650
シャーロック・ホームズの凱旋 森見登美彦 中央公論新社 1,980
訂正する力 東浩紀 朝日新書 935
異国の味 稲田俊輔 集英社 1,650
テレビ局再編 根岸豊明 新潮新書 880
恐るべき緑 ベンハミン・ラバトゥッツ 白水社 2,750
漫画の未来 明日は我が身のデジタル・ディスラプション 小川 悠介 光文社新書 946
パッキパキ北京 綿矢りさ 集英社 1,595
アイスネルワイゼン 三木 三奈 文藝春秋 1,980

週刊エコノミスト「Book Review」: 3/19・3/26 号 6 冊
自治と連帯のエコノミー ロベール・ボワイエ 藤原書店 2,860
マクロ経済動学 景気循環の起源の解明 楡井誠 有斐閣 3,300
渋沢イズムでニッポン元気復活! 三橋規宏 海象社 1,980
自律と自立のまちづくり 元山口県柳井市長 河内山哲朗回顧録 河内山 哲朗 吉田書店 2,970
ドキュメント 異次元緩和 10年間の全記録 西野智彦 岩波新書 1,056
インドの食卓 そこに「カレー」はない 笠井亮平 ハヤカワ新書 1,144

週刊東洋経済「話題の本」: 3/9 号 5 冊
涙にも国籍はあるのでしょうか 津波で亡くなった外国人をたどって 三浦英之 新潮社 1,925
家を失う人々 最貧困地区で生活した社会学者、1年余の記録 マシュー・デスモンド 海と月社 2,860
副業おじさん 傷だらけの俺たちに明日はある若月澪子 朝日新聞出版 1,650
パリの「敵性」日本人たち 脱出か抑留か 1940-1946 藤森晶子 岩波書店 2,420
MOCT 「ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人 青島顕 集英社 1,980

朝日新聞: 3/16 朝刊 19 冊
経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて 山崎元 Gakken 1,760
死因の人類史 アンドリュー・ドイグ 草思社 4,180
中断される死 現代医療はいかに死に方を複雑にしているか ブレア・ビガム 青土社 2,860
なぜ、無実の人が罪を認め、犯罪者が罰を免れるのか 壊れたアメリカの法制度 ジェド・S・レイコフ 中央公論新社 2,750
ずっと、ずっと帰りを待っていました 「沖縄戦」指揮官と遺族の往復書簡 浜田哲二 新潮社 1,760
ケアの倫理 フェミニズムの政治思想 岡野八代 岩波新書 1,364
中国農村の現在「14億分の10億」のリアル 田原史起 中公新書 1,056
ローマ帝国の誕生 宮嵜麻子 講談社現代新書 1,320
方舟を燃やす 角田光代 新潮社 1,980
口の立つやつが勝つってことでいいのか 頭木弘樹 青土社 1,980
手塚治虫の歴史教室 手塚治虫 いそっぷ社 1,870
芦別 炭鉱〈ヤマ〉とマチの社会史 嶋﨑尚子、西城戸誠、長谷山隆博 寿郎社 4,400
ホントのコイズミさん NARRATIVE 小泉今日子 303BOOKS 1,650
倭寇 わが天地は外海にあり 髙橋直樹 潮文庫 1,045
悪将軍暗殺 武川佑 文春文庫 957
不疑 葉室麟短編傑作選 葉室麟 角川文庫 792
地獄の三十路録 1 結木万紀子 KADOKAWA 836
つかこうへい正伝Ⅱ1982-1987 知られざる日々 長谷川康夫 大和書房 3,300
MAGNUM MAGNUM 増補改訂版 ブリジット・ラルディノワ 青幻舎 22,000

毎日新聞: 3/16 朝刊 8 冊
失敗のクィアアート 反乱するアニメーション ジャック・ハルバースタム 岩波書店 3,960
町の本屋という物語 定有堂書店の43年 奈良敏行、三砂慶明 作品社 2,420
漫画家が見た 百年前の西洋 近藤浩一路「異国膝栗毛」の洋行 和田博文 筑摩選書 1,870 
医療とは何か 音・科学そして他者性 方波見康雄 藤原書店 2,970
アーサー・マッケン自伝 アーサー・マッケン 国書刊行会 4,950
老人と海 ヘミングウェイ 新潮文庫 572
みなさんのおかげです 木梨憲武自伝 木梨憲武 小学館 2,200
ジェンダー・クライム 天童荒太 文藝春秋 1,870

読売新聞: 3/17 朝刊 9 冊
外事警察秘録 北村滋 文藝春秋 1,760
新訳 平和の経済的帰結 ジョン・メイナード・ケインズ 東洋経済新報社 2,640
夜更かしの社会史 安眠と不眠の日本近現代 近森高明、右田裕規 吉川弘文館 4,180
ヤバい統計 政府、政治家、世論はなぜ数字に騙されるのか ジョージナ・スタージ 集英社 2,640
みんなこわい話が大すき 尾八原ジュージ KADOKAWA 1,760
対怪異アンドロイド開発研究室 饗庭淵 KADOKAWA 1,634
歴史としての二十世紀 高坂正堯 新潮選書 1,760
Science Fictions あなたが知らない科学の真実 スチュアート・リッチー ダイヤモンド社 2,090
月の雫 中村稔 青土社 2,200

以上