遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

今週 書評で取り上げられた本(10/18~10/24 週刊10誌&朝日新聞)全92冊

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毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。

 

今週の書評本掲載された媒体タイトル・著者・出版社・税込価格)

週刊朝日: 10/29 号 7 冊 
更年期障害だと思ってたら重病だった話 村井理子 中央公論新社 1,540
鴎外青春診療録控 千住に吹く風 山崎光夫 中央公論新社 1,870
世阿弥最後の花 藤沢周 河出書房新社 2,200
謎ときサリンジャー「自殺」したのは誰なのか 竹内康浩 、朴舜起 新潮選書 1,650
イチロー実録 2001-2019 小西慶三 文藝春秋 1,540
核兵器のない世界へ 勇気ある平和国家の志 岸田文雄 日経BP 1,760

サンデー毎日: 10/31 号 9 冊 
ペッパーズ・ゴースト 伊坂幸太郎 朝日新聞出版 1,870
第二次大戦、諜報戦秘史 岡部伸 PHP新書 990
播磨国妖綺譚 上田早夕里 文藝春秋 1,870
認知症世界の歩き方 筧裕介, 認知症未来共創ハブほか ライツ社 2,090
予は如何にして文士となりしか 橘外男 幻戯書房 3,850
銀座で逢ったひと 関容子 中央公論新社 2,420
刑務所の精神科医 治療と刑罰のあいだで考えたこと 野村俊明 みすず書房 2,970
消費社会の誕生 近世イギリスの新規プロジェクト ジョオン・サースク ちくま学芸文庫 1,540
万葉集に出会う 大谷雅夫 岩波新書 902

女性自身: 11/2 号 4 冊 
やさしい猫 中島京子 中央公論新社 2,090
離れがたき二人 シモーヌ・ド・ボーヴォワール 早川書房 2,750
地中の星 門井慶喜 新潮社 1,980
日本一笑顔になれるお葬式 大切な人が亡くなる前に知っておきたい葬儀の本当のハナシ 是枝嗣人 扶桑社 1,540

女性セブン: 11/4 号 5 冊 
ペッパーズ・ゴースト 伊坂幸太郎 朝日新聞出版 1,870
女性皇族の結婚とは何か 工藤美代子 毎日新聞出版 1,760
民王 シベリアの陰謀 池井戸潤 KADOKAWA 1,760
杉浦日向子ベスト・エッセイ 杉浦日向子 ちくま文庫 924
やくざ映画入門 春日太一 小学館新書 902

週刊現代: 10/23・10/30 号 7 冊 
砂に埋もれる犬 桐野夏生 朝日新聞出版 2,200
子のない夫婦とネコ 群ようこ 幻冬舎 1,650
ミカエルの鼓動 柚月裕子 文藝春秋 1,870
イップス 澤宮優 角川新書 1,056
プロ野球「経営」全史 球団オーナー55社の興亡 中川右介 日本実業出版社 1,980
三国志名臣列伝 魏篇 宮城谷昌光 文藝春秋 1,870
蠕動で渉れ、汚泥の川を 西村賢太 角川文庫 968

週刊ポスト: (今週は休刊)

週刊新潮: 10/28 号 15 冊 
女性皇族の結婚とは何か 工藤美代子 毎日新聞出版 1,760
アフター・クロード アイリス・オーウェン国書刊行会 2,640
八月のくず 平山夢明短編集 平山夢明 光文社 1,760
魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣 石井妙子 文藝春秋 2,090
お人形の家 寿 いがらしみきお 太田出版 1,760
アルファベット荘事件 北山猛邦 創元推理文庫 814
霧越邸殺人事件(上・下) 綾辻行人 角川文庫 704,792
ある閉ざされた雪の山荘で 東野圭吾 講談社文庫 693
荘園-墾田永年私財法から応仁の乱まで 伊藤俊一 中公新書 990
MC論  昭和レジェンドから令和新世代まで「仕切り屋」の本懐 古舘 伊知郎 ワニブックス 1,650
神欺く皇子 三川みり 新潮文庫nex 781
わたしのいないテーブルで デフ・ヴォイス 丸山正樹 東京創元社 1,760
新聞記者、本屋になる 落合博 光文社新書 1,034
世界大富豪列伝 全2巻 福田和也 草思社 各1,760
権力は腐敗する 前川喜平 毎日新聞出版 1,760

週刊文春: 10/28 号 10 冊 
刑務所の精神科医 治療と刑罰のあいだで考えたこと 野村俊明 みすず書房 2,970
眠りの航路 呉明益 白水社 2,640
朝と夕の犯罪 降田天 KADOKAWA 1,870
廃遊園地の殺人 斜線堂有紀 実業之日本社 1,980
大鞠家殺人事件 芦辺拓 東京創元社 2,090
ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」 平井一夫 日本経済新聞出版 1,760
定形外郵便 堀江敏幸 新潮社 1,980
わたしたちに手を出すな ウィリアム・ボイル 文春文庫 1,155
老い蜂 櫛木理宇 東京創元社 2,090
書物と貨幣の五千年史 永田希 集英社新書 990

週刊エコノミスト: 10/26 号 8 冊 
監視資本主義 人類の未来を賭けた闘い ショシャナ・ズボフ 東洋経済新報社 6,160
ユーゴスラヴィア現代史 柴宜弘 岩波新書 990
グリーン・ジャイアント 脱炭素ビジネスが世界経済を動かす 森川潤 文春新書 1,012
税金の世界史 ドミニク・フリスビー 河出書房新社 2,585
しごと放浪記 自分の仕事を見つけたい人のために 森まゆみ インターナショナル新書 968
低気圧不調に打ち勝つ12の習慣 佐藤純 ディスカヴァー・トゥエンティワン 1,760
日本人が知らない 本当の路地裏中国乗って歩いた! 全33省旅遊記 宮崎正弘 啓文社書房 1,760
常識を疑う心理学 太田仁, 宮島健他 ナカニシヤ出版 990

週刊東洋経済: 10/23 号 10 冊 
灼熱 葉真中顕 新潮社 2,860
福祉国家 救貧法の時代からポスト工業社会へ デイヴィッド・ガーランド 白水社 2,640
ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機 濱口桂一郎 岩波新書 1,122
虫と自然を愛するファーブルの言葉 大事なことはみんな「昆虫」が教えてくれた。 ジャン・アンリ・ファーブル 興陽館 1,650
森鴎外渋江抽斎」を読む 中村稔 青土社 2,640
娘の遺体は凍っていた 旭川女子中学生イジメ凍死事件 文春オンライン特集班 文藝春秋 1,540
世界の知性が語る「特別な日本」 会田弘継 新潮新書 792
中国共産党帝国とウイグル 橋爪大三郎中田考 集英社新書 968
原敬「平民宰相」の虚像と実像 清水唯一朗 中公新書 990
歴史のダイヤグラム 鉄道に見る日本近現代史 原武史 朝日新書 935

朝日新聞: 10/23 号 18 冊 
本心 平野啓一郎 文藝春秋 1,980
「バズる文章」のつくり方 尾藤克之 WAVE出版 1,540
簡潔で心揺さぶる文章作法 SNS時代の自己表現レッスン 島田雅彦 KADOKAWA 1,540
三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾 近藤康太郎 CCCメディアハウス 1,650
サワー・ハート ジェニー・ザン 河出書房新社 3,245
パラダイスガーデンの喪失 若竹七海 光文社 1,760
貧困パンデミック 寝ている「公助 」を叩き起こす 稲葉剛 明石書店 1,980
パムクの文学講義 直感の作家と自意識の作家 オルハン・パムク 岩波書店 2,420
シェークスピア・カバーズ イッセー尾形 スイッチパブリッシング 3,520
ウォーターダンサー タナハシ・コーツ 新潮社 3,080
だいありぃ 和田誠の日記1953~1956 和田誠 文藝春秋 3,300
アメリカンビレッジの夜 基地の町・沖縄に生きる女たち アケミ・ジョンソン 紀伊國屋書店 2,530
妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ 橋迫瑞穂 集英社新書 946
世界を変えた10人の女性科学者 キャサリン・ホイットロック, ロードリ・エバンス他 化学同人 2,860
アフタートーク 石井玄 KADOKAWA 1,650
甲子園が割れた日 松井秀喜5連続敬遠の真実 中村計 集英社文庫 660
日本の気配 増補版 武田砂鉄 ちくま文庫 924
出雲世界紀行 生きているアジア、神々の祝祭 野村進 新潮文庫 781

以上

衆議院選挙「比例代表」は党名を書いて投票しましょう

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31日の衆院選挙投開票を前に、すでに多くの有権者期日前投票を済ませているようです。

私は投票日に行くつもりですが、投票の際は比例代表」の投票用紙には党名を書いて投票しましょう。

 

党名は「略称」を書いても有効です。上の画像の右から各党の党名と略称を以下のとおりざっと紹介します。

 党名           略称

れいわ新選組 れいわ

社会民主党  社民党

立憲民主党  民主党

日本共産党  共産党

国民民主党  民主党

 

ここで注目なのが、立憲民主党と国民民主党の略称がともに「民主党」となっています。期日前投票で「間違っているんじゃないか」という問い合わせが選管に寄せられているようです。

略称は他党と同じでもいいようで、今回の場合は比例で「民主党」と書かれた票数は、両党の得票率で案分されるそうです。

総務相総務省選挙課によると、公職選挙法では複数の政党が同じ略称を使うことを認めている。投票用紙に「民主党」と書いた場合は、それぞれの得票割合に応じて票を割り振る「案分」になるという。》

案分されますのであまり影響がないとはいえ、立憲民主党は、今回から略称を「民主党」として国民民主にぶつけてきました。これは、立憲の作戦なのでしょうか、それとも小さな共闘なのでしょうか(笑)。

ということで、どこの党に投票するにせよ、私は略さないで投票するつもりです。

 

年収が増えず消費税と社会保険料の負担割合が増え 致命的な状況です・ニッポン

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上は、朝日新聞の「日本経済の現在値」という特集記事のタイトル画像。

韓国に抜かれた日本の平均賃金 上がらぬ理由は生産性かそれとも… [2021衆院選]:朝日新聞デジタル

「日本人の平均年収は424万円。米国(763万円)と339万円も差がある。1990年から現在までに米国は247万円増え、韓国は1・9倍に急上昇。日本が足踏みしている間に世界との差はどんどん開いていた」と朝日の記事の冒頭に書かれています。

しかし、今の自分の年収と比べてみると「424万円でも十分じゃないか」と言う人が大半なのでは?と思うのですが、はたしてそうでしょうか。

 

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自民党公明党や維新の会の支持者も、野党の支持者も424万円なら悪くはないと思っているのではないでしょうか。

1990年から横ばいの年収なのですが、それでも暴動が起きないのが日本の素晴らしいところなんだと思いますが、上のグラフで各国の平均年収の推移をみると、愕然としてしまうのではないでしょうか。

1970年代後半に就職した私。以前にも拙記事で紹介したことがありますが、1976~7年頃半当時の私の年収と総労働時間を今計算しますと、時給はほぼ1000円(税込み)でした。

正社員でボーナスも貰っていたとはいえ、名もなき企業の新卒の労働者が45年前でも時給1000円あったのですから、多くの労働者もそんな賃金だったと思います。いまの最低賃金レベルだったのです。

そのことを思うと、1990年から平均年収が横ばいだというのはなるほどなという推移です。

その要因の最大理由は、税金と社会保険料の負担増です。

30年の間に、消費税(89年に3%で導入)は10%になり、社会保険料負担は年間で平均31万円(月2万6千円)の負担となっています。

30年間424万円の収入のままなのに、社会保険料は31万円もの負担になっています。そのうえ、消費税は10%になっていますから、生活必需品しか買えない身の上では正味10%の負担になっているのです。

下のグラフは、年収に対して、黄色のゾーンが消費税の割合、オレンジ色のゾーンが社会保険料の割合を表していて、年収の低い層の社会保険料の負担割合は15%を超え、消費税負担が5%を超えるものとなっています。

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グラフの左に行くにしたがって年収が低い層なのですが、年収に対する消費税と社会保険料の負担割合が25%と致命的な割合になっています。

先だっての「日曜討論」で、甘利明は「消費税の使い道は、社会保障と限定されている」と言って、「フェイクだ」とSNSで炎上していましたが、消費税は事実上「法人税の減税補填」税になっています。その証拠に、法人税が下がった企業は内部留保が増え、一般勤労者は社会保険料の負担増になり家計に打撃を与え続けています。

年収の伸び止まりと、社会保険料や消費税の負担増によって、国民はずっと二重苦の生活に耐え続けています。

働いて働いて働き続けて税金と社会保険料(健康保険・年金)を納めているにもかかわらず、コロナ対策はしない将来の年金の保証はないのです。それでも黙って働き続けるのです。ここで、三重苦になります。

おまけに、時の政権は、モリカケ桜だのオリンピックだのGoToキャンペーンだのへなちょこITだの政治サポーターのDappiだのと、中抜き企業や悪徳業者に税金を湯水のように流し続けます。ここで四重苦です。

日本全体では世界第3位の大きな経済ですから、政権交代が起ったとしてもすぐには後継機にはなりませんし賃金もすぐには上がらないでしょうが、消費税や社会保険料や最賃の改善や中抜き業者の排除などは、閣議ですぐ決定できます。最初の閣議で決定できます。

ということで、こんな年収であと4年がまんできなければ、選挙に行って野党に票を入れることをおすすめします。それが幸せへの近道であります。

 

ショパンコンクール 反田恭平2位・小林愛実4位入賞 アッパレ!

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第18回ショパンコンクールの優勝者と入賞者が決定しました。

優勝(1位)は、カナダの24歳のブルース(シャオユー)リウでした。中国系のカナダ人だと思います。

彼の本選の演奏が終わったときの会場の興奮度合は今大会最高だったのではないでしょうか、8割くらいの観客がスタンディングオベーションで演奏を称えていました。おめでとう!

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そして日本から出場していた2人、反田恭平(27)が2位、小林愛実(26)が4位にそれぞれ入賞しました。アッパレ!

ショパンコンクールは、出場資格条件の上限年齢は30歳ですから、二人はラストチャンスを見事ものにしました。

反田の2位は、日本からの出場者としては1970年の内田光子以来50年ぶり2位入賞で、2015年の前回に続く2度目のファイナリストとなった小林も4位という素晴らしい成績を収めました。

www.youtube.com

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現在、反田はポーランド小林はアメリカを拠点に活動しているようですが、演奏家としての本格的なスタートは今からなのだと思います。過去の入賞キャリアは一旦横に置いといて、世界で認められる演奏も人物も素晴らしい品格のあるピアニストになってもらいたいと思います。

上の画像は、12月8日に東京芸術劇場での二人のリサイタルの宣伝ポスターです。仕事中の二人はかっこいいですよね。
まだチケットは間に合うかもしれませんが、追加公演もあるかもしれませんし将来が楽しみなお二人です。とりあえずはお疲れさまでした。

▼リサイタル・シリーズ「VS」Vol.1
反田恭平×小林愛実
2021年12月8日(水)19:00開演 東京芸術劇場
https://geigeki.jp/performance/concert241/c241-1/

日本人の過去の入賞者
第5回 - 田中希代子(第10位、日本人初入賞者)
第7回 - 中村紘子(第4位)
第8回 - 内田光子(第2位)、遠藤郁子(第8位)
第10回 - 海老彰子(第5位)今大会の審査員
第11回 - 小山実稚恵(第4位)
第12回 - 横山幸雄(第3位)、高橋多佳子(第5位)
第13回 - 宮谷理香(第5位)
第14回 - 佐藤美香(第6位)
第15回 - 関本昌平山本貴志(ともに第4位)
第18回 - 反田恭平(第2位)、小林愛実(第4位)

さわやかで柔らかくて鮮やかな松家仁之の「泡」を読みました 

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 松家 仁之  (著)  集英社

今年の春以降、新聞や週刊誌の書評に、待ってましたとばかりにこの作家の新作「泡(あわ)」が取り上げられていた。初めて知った作家の小説を半ば興味本位で読んでみて、結果、本年の私的ベスト3の一つに確定した。

主人公は東京に暮らす不登校の高校2年生の薫。彼がひと夏の経験をするのが、大叔父の兼定(かねさだ)が営む和歌山の海辺のジャズ喫茶。

時代は70年代で、本作は私小説ではないそうだが、1958年生まれの著者松家仁之(まさし)が主人公の薫と同じ高2時代のころの物語である。

小説の冒頭で具体的な「泡」が主人公の周辺で「おっ」と登場するが、本作のタイトルの「泡」は具体的な泡の形で登場したり、さまざまな比喩の意味が含まれて本文に登場する。人生や青春そのものが「泡」のようでもある。

人間不信に近い状況だった薫は、和歌山の海辺の町(モデルは海水浴と温泉の町白浜町)でさまざまな人達や音楽と交わり、妄想的な恋まで経験する。

その薫のエピソードと独立して、大叔父である兼定(生まれは1915年前後か)のシベリアの厳しい抑留生活や戦後の彼の理不尽な物語が混じり合いながら、本作はさらに重厚感を増していく。

シベリア帰りを「アカ」と呼んだ時代があったことをこの作品が記録しているが、いつの時代にも酷い人たちが存在していたことをさらっと記録にとどめているのだった。

兼定が石持て追われるように逃避した先は、シベリア抑留時代の戦友の故郷の和歌山だった。兼定も薫も、そして店を手伝う岡田という若い男も、黒潮を逆流するように東京から流れ着いたのだった。

薫と兼定と岡田の3人の男と、彼らを取り巻く世間、家族、音楽、戦争にまつわるエピソードがしっとりとしたタッチで品よく描かれる。

70年代に世間やジャズと出会った私は、本書の行間を離れてしばしば当時にタイムスリップした。全体を包むやわらかい質感のあざやかな文章に接して、なぜか何度か目頭が熱くなった。

私のなかにまだとどまっている若い頃に生成された「泡」が、プチップツッと体外に出てきた感じがしてさわやかだった。

まだアナログの時代のお話だが、現代に置き換えても全く違和感がなく、同じ人間たちの立ち姿を見ることができる物語なのだった。

 

松家 仁之(まついえ まさし、1958年12月5日 - )プロフィール
東京都生まれ。1979年、早稲田大学在学中に『夜の樹』で第48回文學界新人賞佳作に選ばれ、『文學界』にてデビュー。卒業後新潮社に入社。1998年、「新潮クレスト・ブックス」創刊。2002年、季刊総合誌『考える人』を創刊、編集長となる。2006年より「芸術新潮」編集長を兼務し、2010年6月退職。