遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

万能鑑定士Qの推理劇Ⅱ/松岡圭祐

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万能鑑定士Qの推理劇供  松岡 圭祐  (角川文庫)


東京ディズニーランドが開園してちょうど30年だという。
あっという間の30年、あと30年生きたいけど無理かな、大きな地震に遭う前に逝っている方がいいかな。

ディズニーのアニメ作品で最も好きなのが「不思議の国のアリス」、原作が優れているからそうなのだろうけど秀作だ。
1910年(明治43年)にわが国で翻訳された「不思議の国のアリス」は、「愛ちゃんの夢物語」というタイトルだったという。
アリスが愛ちゃんだった時からもう100年経っている。

さて、「万能鑑定士Qの推理劇」のご紹介、今回は第2弾。

凛田莉子の経営する万能鑑定士Qに、まだ幼い男の子が「愛ちゃんの夢物語」を持ち込み鑑定を依頼する。
その「愛ちゃんの夢物語」をきっかけとして、物語が動き始める。
鑑定士莉子は、前回の宝石鑑定から一転、古書鑑定のエキスパートとして、老舗のオークション会社に乞われて就職する。

例によってうんちく話が満載で、今回は古書や出版やミステリ小説の話が、物語の本線を修飾していて楽しい。
シャーロック・ホームズコナン・ドイル作)や、007ジェームズ・ボンドイアン・フレミング作)の未発表新作原稿が、
小道具として登場して楽しませててくれる。

莉子の高校時代の思い出と、突然目の前に現れたさみしそうな少年と、彼の持ち込んだ「愛ちゃんの夢物語」と、
コナン・ドイルの未発表作品が絡み合って、でも複雑に絡み合ってないから、さらっと読めて楽しい。