遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

天皇からのクリスマスプレゼント

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天皇は85歳の誕生日を迎えるにあたって、記者会見を通じて国民に感謝のメッセージを送られた。

これが天皇として最後のお言葉になるのか、ところどころ声を詰まらせられた。声が詰まるとは、嗚咽をこらえる事の副産物なのかもしれない。また、怒りから声が詰まったり震えたりすることもよくある。怒りを抑えられていたのなら、お体に触ることこの上ない。

沖縄、敗戦、戦後、災害、弱者、移民、国民、皇后への思いについて、わかりやすいやわらかい言葉で自分の思いを私たちに伝えられた。同時に、遠回しに政権を叱っておられるように感じたのは私だけだろうか。これらは、現政権が進めていることへの申し分のない「対案」である。

美智子皇后が皇室に入られたころが、私が物心ついたころだったが、両陛下は自ら体を張って戦後を国民のために歩んでこられたことを目にしていた。それは自ら進んで象徴としての役目を果たしてこられたことだと、改めて再認識した。

国民としては、陛下のことばを有難い贈り物と受け取れば、素晴らしいクリスマスプレゼントになるのではないだろうか。自分の誕生日なのに、ありがたいプレゼントを授けてくださったものだ。 感謝。


【陛下のメッセージ(抜粋)】
(沖縄への思い)
沖縄は、先の大戦を含め実に長い苦難の歴史をたどってきました。皇太子時代を含め、私は皇后と共に11回訪問を重ね、その歴史や文化を理解するよう努めてきました。沖縄の人々が耐え続けた犠牲に心を寄せていくとの私どもの思いは、これからも変わることはありません。

(敗戦と戦後の復興)
先の大戦で多くの人命が失われ、また、わが国の戦後の平和と繁栄が、このような多くの犠牲と国民のたゆみない努力によって築かれたものであることを忘れず、戦後生まれの人々にもこのことを正しく伝えていくことが大切であると思ってきました。平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵(あんど)しています。

(自然災害と静謐な国民)
数多くの災害が起こり、多くの人命が失われ、数知れぬ人々が被害を受けたことに言葉に尽くせぬ悲しみを覚えます。ただ、その中で、人々の間にボランティア活動をはじめさまざまな助け合いの気持ちが育まれ、防災に対する意識と対応が高まってきたことには勇気づけられます。また、災害が発生した時に規律正しく対応する人々の姿には、いつも心を打たれています。

(弱者への思い)
障害者をはじめ困難を抱えている人に心を寄せていくことも、私どもの大切な務めと思い、過ごしてきました。

国際貢献と移民外交のすすめ)
近年、多くの外国人がわが国で働くようになりました。私どもがフィリピンやベトナムを訪問した際も、将来日本で職業に就くことを目指してその準備に励んでいる人たちと会いました。日系の人たちが各国で助けを受けながら、それぞれの社会の一員として活躍していることに思いを致しつつ、各国からわが国に来て仕事をする人々を、社会の一員として私ども皆が温かく迎えることができるよう願っています。また、外国からの訪問者も年々増えています。この訪問者がわが国を自らの目で見て理解を深め、各国との親善友好関係が進むことを願っています。

(国民への感謝と皇后へのねぎらい)
私はこれまで、象徴としての私の立場を受け入れ、私を支え続けてくれた多くの国民に衷心より感謝するとともに、自らも国民の一人であった皇后が、私の人生の旅に加わり、60年という長い年月、皇室と国民の双方への献身を、真心を持って果たしてきたことを、心からねぎらいたく思います。