馬にとっても、3歳時に一回だけ出場できるレースですし、オーナーもそのレースに出馬できる馬を育てたいと思っているはずです。騎手も、まずダービーに出場して、できれば優勝できるような馬の鞍上でレースをしたいと望んでいるでしょう。そのうえでダービーで優勝できれば、一生涯彼は、「ダービージョッキー」と呼ばれます。賞金額が高いレースは、天皇賞や有馬記念やジャパンカップなど他に存在しますが、日本ダービーは別格だと言えましょう。
囲碁の棋士がもっとも欲しいタイトルは何でしょうか。賞金額が最も大きいのが棋聖戦(読売新聞主催)で、最も格上のタイトルだと規定されていますが、名人戦(朝日新聞)や本因坊戦(毎日新聞)の方が歴史的には格上だと思います。私が棋士なら、本因坊が最も欲しいタイトルですが、多くの棋士もそれに賛成してくれるような気がします。
将棋棋士は、月一回ペースで「順位戦」というクラス別(A、B1、B2、C1、C2)に属しているリーグ戦の対局を行い、上のクラスのリーグ入りを目指して1年間の対局をこなします。各クラスで昇級できるのは年に2人で、A級に上り詰めた10人が名人挑戦権を獲得する資格があり、そのうち一人が時の名人とタイトル戦を闘います。
トーナメントではなく、リーグ戦を1年間闘って昇級を目指したり降級しないように自分のクラスを維持したりして行き着くところが最高峰の「名人」です。
順位戦の一番下のクラスの若者が、最高峰の名人に勝利しました。プロだと言っても、藤井はまだ中学生ですから、時の名人に勝利するというのは大変なことだと思います。サッカーの天皇杯に例えれば、高校サッカーチームがJ1チームに勝利したみたいなところでしょうか。(旨い例えでないでしょうが。)なので、立派な将棋を指せたということで、朝日新聞の朝刊の一面に取り上げられました。素晴らしい。
さしもの羽生竜王(47歳)も齢四十半ばを超え、そのパワーはピークを超えていましょうから、藤井聡太に勝つチャンスは50%。全く互角だと思います。ただし、朝日杯過去10回のうち、羽生は5回の優勝を数え、早指し将棋の強さも群を抜いています。100m走もマラソンも強い最強ランナーが羽生善治です。
朝日杯の準決勝と決勝戦は2018年2月17日に同時に行われますが、将棋界は一人の爽やかな新星が出現して、相変わらず賑やかなことであります。