遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

台湾や韓国出身棋士と日本の囲碁界

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上の画像のお嬢さんは、名前を謝依旻(シェイ イミン )と言い、日本の囲碁女流棋士です。囲碁の女流のタイトルは5つありますが、彼女がすべてを独占しています。現時点で、囲碁のタイトルは井山裕太が7冠を独占していますが、女流の方は謝依旻が独占しています。二人は同年の27歳で、謝依旻は台湾の天才少女だった12歳のとき来日し、日本の囲碁界に身を置き女流棋士の頂点に上り詰めた女性です。

日本の囲碁界は、男女合わせて500人近いプロ棋士がいます。そのうち、約50人ほどが外国人で、年齢は20代から60代まで各年代層にまんべんなくいます。かつては、強い囲碁棋士は日本でプロになる傾向だったのですが、最近は、韓国と中国のプロ棋院が充実してきて日本にやって来る人は少なくなりました。ですから、日本のプロ棋士で韓国や中国出身の若いプロはいなくなりましたが、台湾の棋士だけは今でも日本でプロになって一旗揚げようとやってきます。

外国人棋士は全体の10%の人数ですが、とても強い集団ですから、その存在感はとても大きいものがあります。

たとえば、60歳の趙治勲(ちょう ちくん)は、6歳で韓国から来日し、数々のタイトルを獲得し、囲碁界の記録をほとんど塗り替えた天才です。井山裕太がその数々の記録に挑んでいる途中です。趙治勲は、相撲界で言えば白鵬に匹敵するスーパースターで実力者であります。

また、10歳で台湾からやってきた張栩(ちょう う、36歳)も、数々のタイトルを獲得し、6冠を同時期に保持していたこともある実力者です。井山の台頭で今は無冠ですが、いまだに日本の囲碁界のトップに位置する棋士であります。

このたび、王座戦井山裕太に挑戦する棋士が、余正麒(よ せいき)という21歳の棋士に決まりました。彼も、13歳で海を渡った台湾出身の棋士であります。

ということで、囲碁の世界は日本のみならず、台湾、韓国、中国などの棋士が入り乱れて切磋琢磨しています。世界戦に出場するときは、彼ら彼女らは、日本代表として韓国や中国のプロと闘います。

心の奥深いところまでは分かりませんが、表向きは、彼らは国籍や出自の違いを乗り越えてフェアに切磋琢磨し尊敬しあっているように感じます。少なくとも囲碁界は、代表選挙で国籍問題で迷走する民進党や、それを肴に喜んでいるような破廉恥全国紙などよりは、とても大人で精神性の高い集団であります。そういう意味では、日本の政界やその界隈などは、とんでもなく低レベルな下品な世界だと思わずにはいられません。