遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

囲碁界は古から国際化が進んでいる世界です

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久々に囲碁の記事を書きます。

わが井山裕太は、私が将棋の藤井聡太やゴルフの渋野日向子にうつつを抜かしている間に、7タイトルすべてを独占していたのに4つもタイトルを失ってしまい、現在3冠になってしまいました。

もっともその間に配偶者という「冠」を獲得していますので、私生活の方では充実していることでしょう。

目下、井山は「天元」というタイトルを台湾出身の若手棋士許家元(きょ かげん)と戦っていて、ここまで2勝2敗のタイスコアになっています。何とか防衛して、新妻と良い正月を迎えてほしいものです。

ところで、朝日新聞によりますと、マレーシアとインドネシア出身のプロの囲碁棋士が誕生しました。

 二人は、マレーシアの曽富康(チャンフーカン)(画像右、16歳)とインドネシアのフィトラ・ラフィフ・シドキ(17)という活きのいい若手であります。日本で成功してほしいものです。

かつて、日本の囲碁界は世界最高峰で、韓国や台湾や中国から多くの天才少年が日本で棋士になりました。とりわけ、韓国と台湾の天才的な少年はほぼ例外なく日本に来てプロの棋士になりました。

台湾からはいまだに少年少女が来日していますが、韓国は自国のプロ制度が充実してきたこともあり、現在は日本でプロになる棋士はほぼゼロだと思います。また、中国は社会体制の違いで従来からからあまり多くの棋士は来日しませんでしたが、韓国と同様にプロの制度が確立されてからは、日本でプロになる棋士は皆無になりました。

囲碁のさまざまな世界戦は、プロもアマも事実上「日・韓・中」の三か国対抗です。韓国生え抜きの韓国チームと、中国生え抜きの中国チームと、日本で生まれた棋士と日本でプロになった台湾出身の棋士の日本チームで編成されます。ここ15年くらいは、韓国と中国が双璧の強さで、この両国が世界最高峰であります。

そんななか、このたび初めてマレーシアとインドネシアの若者がプロに合格しました。両国合わせると人口は3億人近く(マレーシア32百万人、インドネシア2億64百万人)になります。日本と台湾を合わせて1億5千万人ですから、将来、4か国合わせて4億5千万人の中から生まれた天才囲碁棋士の合同強力チームが編成できるかもしれません。日本囲碁界は、未来に向けて新たなステージを模索しているのでしょう。

現在2冠の保持者で20歳のスター芝野虎丸。彼の師匠が、韓国出身の洪清泉(ほん せいせん)だというのが象徴的なのですが、先ほども述べたように日本の囲碁界は日本と台湾と(少しづく少なくなってきた)韓国出身の棋士により構成されています。

海外からやって来て日本で数多くのタイトルを獲得した、林海峯(りん かいほう・中国出身台湾育ち、77歳、通算35タイトル獲得)、趙治勲(ちょう ちくん・韓国出身、63歳、75タイトル)、張栩(ちょう う・台湾出身、39歳、41タイトル)たちは、(おそらくは差別的排他的なことと戦いつつだったでのでしょうが)日本で才能が開花し見事に大成しました。

昔も今も、囲碁界が世界の棋士たちに門戸を広げていることが、これからの他の分野における日本社会にとってとても意味のあることだと思っている、今日この頃であります。