遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

国宝:飛青磁花生/東洋陶磁美術館

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週刊朝日に「美を見て死ね」というグラビア頁がある。毎週ひとつの美術品が、画家の堀越千秋によって称賛される。

その№85で取り上げられたのが、国宝「飛青磁 花生(とびせいじ はないけ)」。
大阪市立東洋陶磁美術館の所蔵美術品である。USJ大阪城、たこ焼きほど有名ではないが、大阪が誇る美術館であります。

堀越は書く。
古代中国から我々は文明を学んだ。余りにも広く深い。僕のようなやっと字が読める村人にはそれ以上のことはよく分からない。
ただ、美術品なら(略)、置かれたものを見るだけだから、それを見れば分かる。簡単だ。文字はいらない。見ればいい。
「それが難しいんですよ」と、文字を読みすぎた人は言うが、間違いだ、絶対に簡単である。

名文だ。私も簡単だと思う。この「飛青磁 花生」、だれが何と言おうと国宝だから間違いないし、見れば分かる。簡単である。

見れば分かるのですが、文字を読みすぎたお方のために、一応、美術館の説明文字をつけておくことにする。

青磁 花生
作品名(よみ) とびせいじ はないけ
時代 元時代 14世紀
高(cm) 27.4
龍泉窯
指定物件 国宝
コレクション名 安宅コレクション
作品解説 釉上に鉄斑を散らした青磁は、日本では「飛青磁」と呼ばれ、茶人らに好まれてきました。この作品はその中でも釉色・鉄斑の現れ方ともに優れた作例のひとつです。この瓶は俗に「玉壺春」と呼ばれる器形です。ほっそりした頸と豊かに膨らんだ胴部が好対照をなして、見事な均整美を見せています。高台は畳付から5ミリほど釉を削っており、露胎部は濃い赤褐色となっています。鴻池家伝来品であり、類品がイギリスのヴィクトリア&アルバート美術館とスイスのバウアー・コレクションなどに見られます。