遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

神々しい汝窯の青磁水仙盆

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大阪中之島の東洋陶磁美術館に行ってきました。3回目の訪問になります。

現在、台北國立故宮博物院からやってきた「汝窯青磁水仙盆」が展示されています。

北宋時代(11世紀末~12世紀はじめ)に宮窯だった汝窯(じょよう)で焼かれた磁器は、現存するものは世界で約90点。
そのうち台北故宮博物院が21点を所蔵しており、今回汝窯水仙盆が4点と18世紀の景徳鎮で焼かれた水仙盆が1点、都合5点が来日しました。

また、東洋陶磁美術館が所蔵する汝窯水仙盆が1点展示されています。
いまさらながら、東洋陶磁博物館の所蔵品のスケールに驚嘆します。日本国内の汝窯の磁器は2点存在するようですが、その1点が東洋陶磁美術館にあるというわけです。

画像の磁器は「青磁無紋水仙盆」で、北宋時代(900年くらい前)の作品。高さ6.7㎝、深さ4.3㎝、口径23.0×16.4㎝、底径19.3×13㎝

水仙盆は水仙などを育てる器で、青の表面は「雨上がりのしめった空の青色」と言われる汝窯の独特の色だそうです。釉薬の貫乳(かんにゅう;ひびもようのこと)はまったく見られないところが特徴的です。貫乳はそれもまた景色だと珍重されますが、汝窯の貫乳のないつるりとした質感と、磁器ならではの薄造りのフォルムが、900年後にも青く美しくしっとりと神々しく存在しています。

下の台座は後に明時代の乾隆帝紫檀で作らせたもので、200年ほど前のものです。台座は水仙盆とは別で展示されていましたが、これもまた素晴らしい引き立て役でした。

汝窯青磁器は「人類史上最高のやきもの」と称されているそうです。なるほど、非の打ちどころのないというのは、こういうことを言うのでしょう。

大阪に来られたなら、ぜひ東洋陶磁美術館に足を運ばれることをお勧めします。国宝2点(「油滴天目 茶碗」「飛青磁 花生」)などの常設展だけでも魅力的だと思います。

なお、汝窯作品の特別展の会期は以下の通りです。
開催期間 2016/12/10~2017/03/26
休催日 月曜日(12月19日、平成29年1月9日、3月20日は開館)、 1月10日、3月21日、 年末年始(平成28年12月28日~平成29年1月4日)
開催時間 午前9時30分~午後5時 (平成28年12月16日~12月25日は午後7時まで開館、入館はいずれも閉館の30分前まで)
料金 一般1,200円、高校生・大学生700円
公式サイト http://www.moco.or.jp/