遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

みな幸せに!/ドキュメント72時間

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NHKの「ドキュメント72時間」(総合 金曜22時55分~23時20分)。カメラクルーがさまざまな場所に出向いていって72時間連続で人間観察とインタビューを敢行する。そこには実にさまざまな人生模様があり、小説より面白い。毎週ただ淡々と25分間で「ほんわか・しんみり」と元気をつけてくれる番組。

年末にはおもしろかった年間ベストテン企画もあり、2度楽しめる素晴らしい番組。ちなみに昨年のナンバー1は「大病院の小さなコンビニ」で、病院で働く医師や看護師や患者たちの人生に感動した。

今回は新宿区役所前のカプセル・ホテルにカメラクルーが入った72時間ドキュメンタリーだった。

カプセルホテルは、随分前から存在しているが、私は一度も利用したことがない。アメニティ付きの風呂、コインランドリー、飲料自販機、テレビ&ソファー空間、デスク&チェア空間に、例の上下2段になったベッド室(男女別ゾーンで、インターネット&テレビ完備)が並んでいる。これは利用できる。

今回紹介された興味ある宿泊客。みな成功して幸せになってもらいたい。(私は彼らのどれでもなく、詰まらない絵にならない男だと自覚。)

外国人
南米や南アフリカからのバックパッカーの男たちは、ベッド室ではしゃいでいた。なかには、6か月くらい日本にいるつもりの若い男性がいた。
オーストラリアからのスキー客は、若いお嬢さんたちの数人の集団。楽しそう。
インドネシアからの日本語が話せる美しいお嬢さんは、春から日本で就職する予定。下見に来たのかな。
通常は2000円くらいからの料金設定なのだが、外国人は特別料金なのか、誰かのスマートフォンの情報では一泊1700円だった。

大阪からの夫婦
百貨店の催事で、お好み焼きをその場で焼いて販売している初老の夫婦。子どもは独立して夫婦で百貨店の催事を行脚している。一日4~500枚のお好み焼きを焼くそうだが、柔和な感じの夫婦は幸せそうだった。

兵庫からの若者
高校を中退して実業団の陸上部に入った17歳の若者。試合の遠征なのか、カプセルホテルに7連泊。両親が10歳で離婚して、母親の負担を軽減するために高校中退して10種競技を続ける若者。澄んだきれいな目をしていた。

金融関係のコンサル(彼だけ顔は特定されなかった)
東京に自宅はあるのだが、ここ4年間は自宅に帰るよりカプセルホテルに泊まる方が多い生活を続けている男性(50)。家に帰りづらいことになってしまったようで、子どものために離婚はしないで、収入はほぼ全額を家庭に入れて、つらい生活をしているという。

春から教員になる若い女
震災の傷跡が残る気仙沼の小学校の先生になる若い女性。東京にワン・ダイレクションのコンサートにやって来たそうで、働き出す前のリフレッシュだという。

室内内装業の若い男性
大画面テレビの前でくつろいでいる男性(27)は、独立したばかりで、現場を掛け持ちして忙しくしている。ここで短い仮眠のあと仕事に戻っていく。ベッドの個室に入ると起きられなくなりそうで、ソファにごろごろしているという。

運送業の男性
金型の職人をしていたのに、突然工場をリストラされた新潟の男性(41)。運送業をしながら4人の子どものために頑張っているという。

鳥取から来た農夫
20年間東京のビデオ制作会社で仕事をしていて、故郷に帰り鳥取で20年間ナシ農家で農業をしてきた男性(57)。
東京が時々恋しくなって独りで上京する。新宿ゴールデン街に近いこのカプセルを利用するという。

脳出血になって初めての一人旅
静岡から映画を観に来たという杖をついた男性(50)。86歳の父親と二人住まいで、父親が右半身が不自由な自分の食事を作ってくれたり面倒を見てくれている。回復度合いを確かめに、病気になって初めて独りで上京。倒れて5年、職も失い、父親の世話から抜け出す生活を目指しているという。

繰り返すが、みな幸せになってもらいたいと願う。