遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

自殺について冷静に考え議論することが世直しにつながる

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8月の自殺者数が1800人を超えた。前年同月と比較して240人増。

男性は60人増えて1199人、女性は186人増えて650人ということだ。

自殺者の男女別は、絶対数は相変わらず男性が多いが、増加数は圧倒的に女性が多い。
とりわけ、若年層の女性の増加率が顕著だという。

コロナ禍により、真っ先に雇い留めになるのは「非正規」の「若い」「女性」という状況と、若い女性の自殺者が急増したという事実は無関係ではない。

男性は、仕事や家庭の責任などから「解放」されたいとして自死を選ぶのに対して、女性は先行きの見えない「不安」から自死するような気がする。

たとえば女子中学生や女子高校生だったら、自分の家の家計の状況に敏感だろうし、進学もままならない状況を察知すると悲嘆にくれる。先が見えない不安というのは、こういうことから来るのかもしれないなあと私はぼんやり考えていた。

竹内結子は、ことしの1月に出産したばかりだったそうだが、子育てで焦燥したり不安を持ったりするのはごく自然なことで、それは往々にして赤ちゃんの悲劇や母親の悲劇につながる。その悲劇が父親に及ばないところが、この国の「公助」や「共助」や民度に直結しているとも思う。

また、竹内の仕事が順調だったのかどうかは分からないが、雇い留めになって悲惨な生活から自死を選んだ多くの女性と似た状況だったのかも知れない。観光・交通・飲食などと同様に広義のサービス業でもある女優やタレントたちの収入が、コロナによってほぼ壊滅していると思われるからだ。

想像や憶測だけで人の死を軽々に語ってはいけないが、女性の自殺が増えてきているというのは、この国の「公助」が機能していないことの証左だと思う。

最も弱いところから鎖は切れるというが、コロナ禍の中の女性の強度を速やかに補強しなければならなくなってきた。

芸能人の不祥事や不倫はどうでもいいのだが、自殺については社会に影響が大きいのでここで皆で考えようという機運が高まることを願っている今日この頃である。

自殺について冷静に考え議論することが世直しにつながるような気がしている。

合掌