遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

労働条件途上国/日本

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第1回ILO総会(1919年、ワシントンD.C.

「残業代ゼロ」法案を閣議決定 裁量労働制も拡大
政府は3日、労働基準法など労働関連法の改正案を閣議決定した。長時間働いても残業代や深夜手当が支払われなくなる制度の新設が柱だ。政府の成長戦略の目玉の一つだが、労働組合などからは「残業代ゼロ」と批判されている。2016年4月の施行をめざす。(朝日新聞デジタル 4月3日(金)11時50分配信)

まだ現役のサラリーマンだった私の2009年の記事を、データを新しくして以下に再掲載する。
この6年間だけを見ても、各国はILOの新条約を次々に批准しているにも関わらず、わが国は1つだけだった。そして、またもや閣議決定された「残業代ゼロ」法案。この政権に命はあずけられない。

(過去の記事)
オフィスを出でてすぐの交差点で信号待ち、見上げれば、その交差点を取り囲む背の高いビル群で、暮れかかった空が実に狭く見える。その巨大ビル群は、すべての窓には煌々と照明が灯り、その中で多くの人がまだ仕事を続けている。

数ある先進国の中で、ILO(国際労働機関)条約の批准が最も遅れているのが、わが国である。

189のILO条約のうち、日本が批准した条約は49条約である(2013年現在)。
ヨーロッパ諸国のフランス(123)、オランダ(106)、イギリス(83)、ドイツ(83)などに比べ著しく低い水準にとどまっている。

しかも、1号条約(一日8時間・週48時間制)、47号(週40時間制)、132号(年次有給休暇)、140号(有給教育休暇)などの労働時間・休暇関係の条約は未批准である。

これらの条約に批准していないわが国は、たとえば労働時間や残業協定は、労使で取り決めればいいだけのことであり、私たち管理職は、事実上無条件で企業の鎖に繋がれた労働者といってもいいのである。

また、わが国の有給休暇取得率は平均50%程度で、もともと与えられた休暇が少ないうえに、取得率も低調なのだが、そもそもヨーロッパには、取得率という概念さえないのだという。有給休暇は100%取得して当たり前、取得させない使用者は罰せられるのである。

ドイツの平均年間労働時間と比べて、私たち日本の労働者は400時間以上多く働いている。サービス残業も含めれば、大きな差になる。わが国6000万人の勤労者が、ドイツ並みの労働時間だったら、1000万~1200万人の雇用が創出される計算になる。

ワークシェアリングは、働くわれらが毎日早く帰宅して家族と夕食を共にし、有給休暇でしっかり休養を取り、健康で人間らしい生活をするところから生まれてくる。
つまりドイツを見習えば、働いている人はゆったりとした暮らしができ、職のない人は職を見つけることができる。

ILO条約を批准している先進国の幸福度とわれらのそれは、乖離がある。税金や年金や社会保障とセットで、労働形態を考える時期が来ていると思う、日本の政治は、あまりにも長い間そのことを放置しすぎていると思う。