遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

23年間口を利かない夫婦のお話

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まったく口を利かない少年が主人公のミステリー「解錠師」、
映画で一切口を利かないと決め込んだ主人公のサイレント映画「アーティスト」とご紹介してきて、
今回は、23年もの間、口を利かない夫婦のお話であります。実話であります。

これは、女房と長女が話してくれた夫婦の話です。
テレビ「探偵ナイトスクープ」に舞い込んだ依頼が、21歳の男子からのもので、
「うちの両親は会話がない。何とかしてよ探偵さん」といった依頼だった。

そのさわりの部分を聞いただけで、心穏やかでなくなってネット検索をしたら、あちこちで話題になっていて、
YouTubeでUPされていたのを、途中まで見ました。

依頼人の21歳の息子は、59歳(私と同年)の父親が、母親(50歳)と話をしているところを見たことがないという。
探偵(竹山)が調査すると、この両親夫婦、奥さんからの一方通行の会話はあるのだが、旦那は一切奥さんと話をしないのです。
3人の子どもと父親は普通の会話があるのに、奥さんとは一切話をしないのであります、23年もの間であります。

奥さんは明るい人で、子どもたちが独立したら、私はどうなるのでしょうと笑いながら話をされていて、
そのあっけらかんとした強さに涙が出そうになり、その続きは見ていません。

3人の子どもたちも立派な人たちで、25歳の長女は、竹山のインタビューに、
「両親が会話をしだすと別の意味で恐いかも」と、これまたあっけらかんと笑い飛ばすのである。

旦那が奥さんと話さなくなった原因は、赤ん坊である子どもたちの世話をする奥さんに疎外感を感じて、
拗(す)ねはじめて、口を利かなくなって23年経ったのだそうです。

ケンカして口を利かなくなったわけではないのだけど、普通なら家族崩壊するようなケース。
私は途中で番組を見るのをやめたが、支え合って過ごしてきたこの家族5人の20年を想像すると感動を覚えます。
まあ、奥さんが偉いというだけの話なのでしょうがね。

結局その夫婦は、若いころよくデートした奈良公園で会話を復活したようで、旦那の長い拗ねた季節は終わったようであります。めでたしめでたし(なのだろうか)。