遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

陽だまりのライラック/クロード・モネ

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クロード・モネ(1840 - 1926)
≪陽だまりのライラック
1872-73年 油彩、カンヴァス 50×65cm
 
最近何かでインプットされた情報に、美術展を楽しむ方法のひとつに、どれか一作品をタダでもらえるとしたら、それをどれにするかを意識して展示作品を見るというのがある。それは美術展初心者には良い方法で、良い楽しみ方だと思う。
プーシキン美術館」を見終ってから、この楽しみ方をふと思い出して、パートナーと本日の自分の一枚の発表会を実施した。今回の私の1枚は、何作かの候補作品から、モネの「陽だまりのライラック」に決定。展示作品をオークションにかければ、おそらく最も高額の部類に入るだろう1枚である。でもそんな事とは関係なく、好きになった作品である。
 
ピンクのライラックに春の明るい陽射しがまぶしい作品で、木陰で二人の女性が春を満喫している平和な昼下がりの風景画である。この混沌としたライラックとその林を、細心の筆遣いで「印象」的で大胆な作品に仕上げている。モネが「印象 日の出」を発表したころのの作品で、86歳まで生きたモネの32歳ころの作品である。
 
プーシキン美術館は、帝政ロシア時代の大企業家2人の一大コレクションを引き継いだ美術館。印象派の作家のコレクションは充実したものである。繊維産業で成功し大富豪になった2人のコレクションなのだが、同じく繊維(倉敷紡績)で巨万の富を得て大原美術館をつくった大原孫三郎と印象が重なる。それにしても、大原美術館のコレクションの充実ぶりは、いまさらながら素晴らしいものだと、プーシキン美術館展で再認識させられるのである。