青森は大間。
港までの長い下り坂を、自転車で歌いながら駆け下りてくるは夏目雅子。
漁に出た夫が大漁で大間の港に帰ってきたのか、
明るい表情で潮風に負けない大きな声で歌うは、「涙の連絡船」。
高音部の「独りぽっちで泣いている~」もちゃんと声が出ている夏目雅子。
私は未見だが、映画「魚影の群れ」の名場面のひとつである。
「魚影の群れ」
映画ポスターの夏目の顔は、何度見ても涙を誘う。
人が泣くのこらえているのを見て心を揺さぶられる事はあっても、
泣く人を見てそうなることはまれな私だが、夏目の「魚影の群れ」での慟哭に胸を打たれる。
そんなに一所懸命に役になりきらなくても、存在感があった人なのに、
その一途さが短い人生と関連しているようで、残念でならない。
さて、本家都はるみの「涙の連絡船」。
こちらはまだ現役の歌手だが、紅白歌合戦初出場で歌ったのが「涙の連絡船」。
私が紹介するYouTubeの映像はこれ。
これは、デビュー当時の映像と異なり、貫禄の歌唱。
観客席の涙を誘うのは、都はるみの歌唱の力、
作詞関沢新一、作曲市川 昭介の歌が持つ力、
それでも生きてきたという、涙する人の生命力か。
私の最も好きな演歌のひとつである。