「その振る舞いが独特な方でしたが、それと内面が比例していない印象でした。まったく裏腹な内面の細やかさを持っていた」。
私は伊良部の自殺の報を聞いたとき、やっぱりと思った。
イチローの言葉にもあるように、外見の割に繊細すぎた内面が、
伊良部をスーパー・スターにさせなかったような気がする。
香川の尽誠学園時代から、その成長振りを楽しみにしていた投手だった。
しかし甲子園では、超高校級だったのにあえなく破れてしまった。
プロ入り後は、しばしばすごいピッチングを見せたが、
潜在的な大きな実力を、長く安定して示すことなく亡くなってしまった。
その死とともに実に残念なことだった。
「こちら(大リーグ)で球の速い投手はたくさんいますけど、比較する時に必ず頭に浮かぶのが伊良部さんの真っすぐ。伊良部さんの一番速い球というのが、大リーグで10年以上やっても物差しになる。それはずっと変わっていない」(イチロー)