「わたしが子どもだったころ」という番組がある。
NHKのBSでも総合TVでも見られる。
著名人が自分の幼少期を語り、それに基づいたドラマが再現されるという、
単純な番組である。
番組のコンセプトは単純なのだけど、登場する著名人がよければ、
つまり、その人の語りが面白く、ドラマチックな幼少期を過ごしていれば、
とても面白い企画の番組になる。
一番最近に見たのが、小澤征爾のわたしが子どもだったころ。
面白くないわけがないので、しっかり録画して楽しんだ。
小澤の子どもの頃の再現ドラマが秀逸だった、
NHKの数あるドラマの中で、この番組のドラマが一番優れていると私は思う。
というか、他のドラマものはほとんど興味がない。
賛美歌のように詩的で素晴らしかった。
父親役を征爾の長男の征悦、母親役をキタキマユが務め、
この夫婦役の2人が、あっけらかんと実に秀逸であった。
征爾の兄弟役を務めた俳優たちも含め、みなとても生き生きとしていて、
時代感覚もあって、素晴らしかった。
征爾が育った中国北京の家は今も残っており、
ドラマはその現存する小澤邸跡でも撮影され、
実にグラフィカルな非の打ちどころのないロケ地であった。
いろんな面白いエピソードが盛り沢山で、そのなかから二つをご紹介。
■征爾の兄の弾くアコーディオンで母親と、幼い征爾が賛美歌を歌う、
♪ きよき朝よ たのしき日よ
母親は音をはずして歌うのが常だったようで、キタキマユがそれを名演する、
なぜか、このはじめて聴く清い賛美歌にとても強く胸を打たれた。
■戦後の物資がない時代に、父親が資金を工面して、
ようやく手に入れられそうなピアノが横浜にある。
まだ幼い征爾のために、横浜から立川の自宅まで2人の兄がリヤカー!で運ぶ。
この麗しい家族愛があって、ひとりの優れた音楽家が育つのである。
征爾少年は、このピアノでバッハの権威といわれた大先生(豊松ノボル?)に教えを受け、
順調にスクスクと音楽家の道を歩んでいたはずだったのに・・・・。
NHKのホームページは、総合テレビで6月15日(月)に再放送されると
伝えているので、興味ある方はご覧いただきたい。