小澤征爾さんの訃報に接し、覚悟はしていたものの、ついにその日が来たかと胸が熱くなりました。
私が小澤征爾を意識したのは「直訴」ニュースでした。
既に「世界のオザワ」と認知していましたが、このニュースはハイティーンの私にはショッキングで、昭和天皇に「直訴」するほど何かに情熱をかける人に初めて出会ったのでした。
その頃はジャズばかり聴いていて、クラシックに能動的に接し興味を持ち始めたのは社会人になってからでしたが、その後小澤の自伝「ボクの音楽武者修行」を読んで、小澤ファンになりました。
自伝のなかで、ブザンソンの国際指揮コンクールで優勝するくだりがあります。
まったく知らない楽譜を渡されそれを短時間で暗譜してコンクールに臨むのですが、オーケストラの誰かがわざと音(メロディーやハーモニー)やリズムを間違えると、一旦演奏をストップしてそのことを指摘するといったコンクール内容に夢中になってしまいました。
指揮者が単なる「タクト振り」でないことを、改めて知らされましたが、私はその読書経験から、オーケストラのリハーサル風景もとても好きになりました。
とりわけ、小澤征爾のオーケストラリハーサルは珠玉の時間でありました。的確でユーモラスで、音楽を問わずアンサンブルを確立するためのリーダーはかくあるべきという模範でありました。
小澤征爾のライブ演奏には行く機会がありませんでしたが、録音媒体やコンサートやドキュメンタリーの映像を通して、ずっと彼と彼の音楽に接してきました。たまたま素晴らしい人が音楽に携わっていたというに過ぎないのですが、同時代を生きてこられてよかったといま感じています。
かれこれ半世紀も小澤さんにお世話になった私の人生でした、ありがとうございました。
謹んでご冥福をお祈りいたします 合掌
↓小澤征爾 ザ・リハーサル 1992
↓小澤征爾ドキュメンタリー「わが街ボストン」
↓ブラームス 交響曲第1番【小澤征爾 / サイトウ・キネン・オーケストラ】
↓チャイコフスキー弦楽セレナーデ【小澤征爾 / サイトウ・キネン・オーケストラ】
↓小澤征爾&ボストン響 ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」
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【過去の拙記事】
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直訴/田中正造と小澤征爾と山本太郎
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小澤征爾さんと、音楽について話をする/村上春樹・小澤征爾
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チャイコフスキー:「弦楽セレナード」ハ長調
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わたしが子どもだったころ/小澤征爾
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亡き王女のためのパヴァーヌ/サイトウキネンオーケストラ
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ベートーヴェン「運命」/小澤征爾とNHK交響楽団
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ボクの音楽武者修行/小澤 征爾