遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

レインメーカー/フランシス・フォード・コッポラ

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レインメーカー
THE RAINMAKER
1997年アメリ

監督 ・脚本・制作総指揮:
フランシス・フォード・コッポラ
原作:ジョン・グリシャム「原告側弁護人」
音楽:エルマー・バーンスタイン
出演
マット・ディモン
クレア・デーンズ
ジョン・ボイド
ダニー・グローバー
ダニー・デビート
マリー・ケイ・プレイス
ロイ・シャイダー
ミッキー・ローク



原作ジョン・グリシャムの「原告側弁護人」、

私の本棚の文庫は1998年版で、

10年前に読んだのだが、内容はほとんど憶えていない。


で、このたびTVで映画の方をはじめて鑑賞。

監督が、コッポラ! 音楽が「大脱走」のエルマー・バーンスタイン

製作がマイケル・ダグラス(「!」はあげない)。


主人公はロースクールを出たばかりのマット・デイモン

レインメーカー」(雨のごとく金を降らせて成功を納める弁護士)にならんと、

胡散臭いミッキー・ロークの弁護士事務所に身を置くことになる。

主人公の使える経費は制約されているが、成功報酬は約束されている。

ただし仕事は向こうから舞い込んでは来ないし、

成功を勝ち取ることはさらに心もとない。


デイモンは、ロースクール時代に相談を受けた、

白血病を発症したにも拘らず、

保険金支払いを拒否する保険会社を相手取る少年とその母親の弁護を買って出る。


保険金未払いの生命保険会社と、

その顧問弁護士ジョン・ボイトたち(彼らこそレインメーカー)に、挑むことになる。

ジョン・ボイトたちのような慇懃無礼集団は、

どこにもいるなぁ、巧いなぁコッポラと唸る。



司法試験は合格したが、裁判で弁護経験が皆無の青年弁護士とその相棒が、

成功報酬と正義のためにヨタヨタと、しかし巨悪に敢然と立ち向かう姿は、

現実離れしていて小気味いい。


こういう裁判なら、陪審員をしてもいいかと思うほどの、

迫真の法廷場面が、よく描かれている。

それでもボクはやってない」はリアルな法廷場面で、

それはそれでいいとは思ったが、

レインメーカー」のほうは、戯曲のごとくみずみずしい。


自身も弁護士だったグリシャムの小説は、

いつも正義の味方の弁護士が登場する。

彼らはあまりにも清潔で、ミッキー・ロークの役どころに近い私には、

(私は弁護士ではないが、そんなに胡散臭くもないと思っているが)

「へー、そんなきれいごと」と、少しだけ物足りなく感じてしまう。


その物足りなさこそ、グリシャムの美学であり、賞賛に値する。

コッポラが、フィルムでそれをうまく伝えている。