彼にちなんで、その名を親から付けられたパーソナル・セキュリティ・エージェント、
アティカス・コディアック。
グレッグ・ルッカは、このアティカス・コディアックを主人公とした,
ボディ・ガードシリーズを著しており、
「暗殺者(キラー)」は、第3作目にあたる。
タバコ会社を相手に、巨大訴訟が起こるのだが、
そのタバコ会社の元職員が、巨悪をあばこうと原告側の承認に立つ。
その、証人を抹殺しようとタバコ会社は暗殺者を差し向ける。
その暗殺者から証人を護る役目が、アティカスの今回のミッションなのである。
当然にボディー・ガード側は、利発で訓練を積み重ねた、
屈強な連中がそろっているのであるが、
暗殺者は、さらに狡猾でしたたかなすごい奴なのである。
暗殺者は、なかなか姿を現さないのであるが、確実に工作や仕掛けを積み重ね、
それを裏付けるあの手この手の不死身な波状攻撃は、
よく構成され、創作されている。
一方、ボディ・ガード側は、徹底的な守戦態勢で、
攻撃側と比べると一見「地味」チームなのかもしれないが、
緻密な大人たちの仕事振りを見せてくれる。
特に最後のクライマックスは、命まで取られない私たち読み手が、
とても緊張してしまう、スリリングな思いをするのである。
まだ未読であるが、次の「逸脱者(上・下)」に、
「暗殺者」の余韻が続いていく予感がする結末であった。