遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ノートルダム/モーリス・ユトリロ

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ノートルダム モーリス・ユトリロ 1909年 オランジュリー美術館



セーヌ川の中洲のような島、シテ島はパリ発祥の地。

そのシテ島に君臨するのが、ノートルダム寺院である。



ノートルダム(Notre-Dame, 英語はOur Lady)はフランス語で、

「私達の貴婦人」という意味で、聖母マリアに与えられた称号。

マリアを崇拝するのだから、当然にカソリック教会なのである。


寺院は1163年に着工し、約180年かかって完成したと言われている。

バロセロナのサグラダファミリアが、長いと言われて、まだ120年余りの工事期間であるから、

なんとも気の長い話である。



その、ノートルダム寺院から、ルーブル美術館を挟んで、

反対側に位置するのがオランジュリー美術館。

オランジュリーの目玉は、地下の壁に壁画の如く横に長く描かれた「睡蓮」の連作である。


しかし、素敵な小品も数々所蔵されている。

本日の1枚は、モーリス・ユトリロの「ノートルダム」である。


彼26歳の、1909年に描かれた作品である。



ユトリロの、モンマルトル界隈の白い壁の建築物の絵画群は、

広く知られている。

それらとは少し趣を異にする「ノートルダム

私はこの作品が気に入っている。


端整な1対1.618の黄金比で成り立つ寺院の正面を、

真っ向から描いた直球勝負の潔い作品である。


パステル調の淡い色合いも、モダンで上品でおしゃれで、

そういえばこういう色合いかなぁと、

観るものを納得させてしまう説得力である。


ま、被写体の建物自体が素晴らしい芸術作品だからむべなるかなと、

納得するしだいでもある。