警官嫌い エド・マクベイン 井上 一夫(訳)ハヤカワ・ミステリ文庫
「87分署」シリーズの、これが第1作目である。
舞台となる街はアイソラという架空の小都市であるが、
ニューヨークの縮図として描かれている。
主人公は、スティーブ・キャレラ刑事という、
ミステリー界の超有名人。
ゴダールの映画「勝手にしやがれ」では、ベルモンドが警官殺しをしてしまう。
同僚を殺された警察官を敵に回すと、3倍の速さで逃げても追いつかれてしまう。
「警官嫌い」は、同僚殺しを追いかける警察小説である。
この1作目のキーパーソンのひとりが、
キャレラの恋人テディである。
彼女は耳が聞こえないというハンディを背負った、実にチャーミングな女性である。
テディはキャレラの生涯の伴侶となるのであるが、
仕事のできる男は、女性の趣味もいい。
キャレラの87分署シリーズは、50作を超えるが、
著者のエド・マクベインは、昨年亡くなっている。
黒澤明の「天国と地獄」の原作となった「キングの身代金」も、
このシリーズの看板作品である。