遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

憲法記念日、徴兵制度、「シカゴ7裁判」

f:id:toship-asobi:20210503155628j:plain

今年のアカデミー賞候補にもなった「シカゴ7裁判」をNETFLIXで観た。

シカゴ7裁判Netflix
上映時間:130分
監督:アーロン・ソーキン
キャスト:サシャ・バロン・コーエンエディ・レッドメイン、ジョセフ・ゴードン=レヴィットほか
 劇作家、脚本家、プロデューサーで監督でもある才人、アーロン・ソーキン。人気テレビドラマ「ザ・ホワイトハウス」(1999~2000)や『ソーシャル・ネットワーク』(2010)、舞台「アラバマ物語」 などで知られるソーキンが脚本と監督を手掛けて、シカゴ・セブンと呼ばれた実在の7名の被告人の裁判の顛末を映画化した。

 1968年8月。米国大統領選挙を控え、イリノイ州シカゴで開かれた民主党の全国大会に合わせて、全国から反ベトナム戦争の若者たちが集結。集会やデモを繰り広げていたが、デモ隊と警察が衝突して争乱となり、数百名の負傷者を出す惨事となった。共和党ニクソン政権が誕生した約5か月後の1969年。デモに参加した各反戦グループのリーダー格8名(うち1名は告訴が取り下げられる)が、暴動を煽動した共謀罪などの罪に問われて法廷に立つことに。

f:id:toship-asobi:20210503161001j:plain

1968年、当時の私は中学生だったがこういう裁判があったことを今まで知らなかった。

ドラマのような実話で、法廷内の緊迫感がドラマチックだった。アメリカの保守の代表のような裁判長に虫唾が走るが、演じた俳優は名演技であった。

シカゴ7と呼ばれる若者たちは、国家権力に「はめられ」て「検挙された」形での裁判だったのだが、いまの沖縄の辺野古の闘争を思い浮かべた型も少なくないと思う。辺野古での抗議団体に「土人」と叫んでいたアホな大阪府警の警官がいたが、ネトウヨが制服着ているようだった。

1968年当時のアメリカは「徴兵制度」の真っただ中で、18歳6カ月から26歳までの男は2年間の兵役義務があった。

昨日まで学生だったのに、明日から武器を持ってベトコンと戦わなければならないのだったら、反戦平和のデモをしても不思議ではない。

あの頃は日本の全共闘も威勢の良い時代だったが(彼らはいま何をしているのだろう、まだお元気なはずだが)、私たちは平和憲法のおかげで戦争に行くことはなかった。

ただし、憲法改正による徴兵制度が復活しないともかぎらないので、「シカゴ7裁判」を観て、今日5月3日の憲法記念日くらいは、先人が守ってきてくれたありがたい憲法をこれからも変わりなく大切していきたいなと思ってもばちは当たらないと思う。

 自分が戦場に行かなくても、息子や孫や娘婿や、あるいは娘や孫娘だって戦場に駆り出されることになることくらい誰だって想像できるだろうに、いったん改憲のタガが緩むとそういうことになることを想像願いたいものだ。

いい映画だった。

 f:id:toship-asobi:20210503160751j:plain