公募の文学新人賞に集まる小説は大変な数で、2024年では1万6千作品を超えました。完成度はともかく、このように毎年多くの作品の応募があることは素晴らしいことだと思います。
芥川龍之介、直木三十五、三島由紀夫、山本周五郎のビッグな名を頂く文学新人賞は公募の賞ではありませんが、一次選考から下読みを担当される予選委員さんをはじめ、候補作を選定する行程は大変なことだと想像できます。
それだけに、選定を突破してきた作品群はどれも風格のある文学作品でだろうし、それらの持つ世界に自分をはめこむ行為が私は好きです。
ひな壇での受賞者インタビューは、いまネット動画で容易に視聴できますが、受賞者の喜びの声は「やったー!」といった感じはあまり表に出て来なくて「わたしで良ければこれからもいい仕事をします」といった決意のほどがうかがえていつも素晴らしいなと思います。
今回の芥川・直木賞受賞発表の場での3人の受賞者の喜びのインタビューを見ましたが、例に漏れずしっとりとした静謐な雰囲気をお持ちのお三方でとても好印象でした。この印象は毎度のことですけど、ここ最近の小説家という生業の人たちの持つ澄んだ雰囲気が大変好きであります。
今回の受賞者は珍しく男のみ3人の構成で、23歳30歳52歳と年齢もばらばらで、私はまだどの作品も読んでいませんが、きっと個性的な読むべき作品群なんだろうなと思っています。それらとの出会いを楽しみにしているところであります。
ということで、今年一発目の文学賞発表記事でありました。おめでとうございます
◆芥川賞
第172回(2024年下半期)
安堂ホセ 「DTOPIA」
鈴木結生 「ゲーテはすべてを言った」
候補作 竹中優子「ダンス}、永方佑樹「 字滑り」、乗代雄介「二十四五」
◆直木賞
第172回(2024年下半期)
伊予原新 「藍を継ぐ海」