遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

大船渡の佐々木にアッパレ!よくやった!

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163㎞の剛速球を投げる大船渡高校のピッチャー佐々木朗希。決勝戦で1球も投げられずに、チームは敗退し甲子園に行けなかった。

私は、21日の4回戦で延長12回を193球で完投したニュースを目にして心を痛めていた。「そんなに投げさせないで!」と心の中で監督に抗議していた。

その2日後7月24日の準決勝でも129球で完投した佐々木は、翌日25日の決勝戦では登板しなかった。監督が佐々木を使わなかった理由は「決勝で使うと壊れかねなかった」というのが監督が語ったその理由だった。

私は大船渡の監督の判断を支持する。将来のあるピッチャーだから、MLB級の大投手になれる可能性もあるのだから、肩やひじを酷使させないことの方が大事だろう。二人目のピッチャーを育てられなかったことが甲子園へ行けなかったことの要因だとすることで、一件落着だ。

今回のことで、私が以前から提言している通り、一定期間のなかで球児の球数制限をすることを高野連は考えるべき。甲子園の本大会だけでなく、一人の投手があらゆる大会で投げる球数を管理して期間と投球数の相関関係で制限を設けるべき時だと思う。

当初は、たとえば「一人の投手が1週間に250球以上は禁止」みたいな緩い規則を設けるべきだ。どのチームも同じ規則なら、今回のように「投げさせ過ぎだ!」とか「なぜ投げさせない?」といった抗議の電話はかからないだろう。

球数制限の規制を、米国でも最も野球が盛んな州の1つであるカリフォルニア州を例にとると、高校野球の投球数に関するルールは以下の通りだ。
 
1) 1試合の投球数は110球まで。
2) 1試合で31~50球を投げた場合は、次の登板までの間隔は最低1日。
3) 1試合で51~75球を投げた場合は、次の登板までの間隔は最低2日。
4) 1試合で76球以上を投げた場合は、次の登板までの間隔は最低3日。
 
これは最上級生(Varsity)チームに適用されるルールであり、それより下の学年にはさらに厳格なルールがある。

このカリフォルニアのルールに沿うと、佐々木は7月21日の4回戦で延長12回を投げ抜き、194球を投げたケースでは、佐々木の投球数が110球に達した時点でルール1)に抵触し、試合途中で降板しなくてはいけなかったことになる。

そして24日の準決勝では中2日で9回129球を投げているが、同州のルールではそもそも登板することがルール4)で許されず、さらにこの試合での投球数もルール1)に抵触するのである。

私の提言した「1週間に250球」というゆるゆるの規則であっても、佐々木は準決勝で56球でマウンドを降りなくてはならないし、決勝戦は投げられない。

若い高校生を、炎天下で酷使することは、社会人で例えると過労死や精神疾患につながるような重労働をさせることに匹敵する。それよりも、カリフォルニアのようなルールを設けて、高校野球のチームは少なくとも3人の投手を用意して甲子園を目指すことにするべきだろう。

佐々木は甲子園で見ることができなくてとても残念だし、チームメイトや地元のファンは無念だろう。だけど、プロ野球の投手として故障なく長く長くその雄姿を見続け応援しようではないか。大谷翔平のような大投手をまた育てようではないか。

また逢う日まで、佐々木投手にはゆっくり休んでもらいたい。3年間お疲れさま。