遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

「女たちよ!」ときゅうりのサンドイッチ

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二十歳の頃に読んだ伊丹十三の「女たちよ!」。あれほど面白くてショッキングなエッセイをその後読んだことがない。

話はそれるが、わが菜園の話で、トマトはまだ赤く熟していないが、ナスときゅうりとピーマン類は一日おきに収穫できるようになった。

きゅうりは、80g~100g程度のものを収穫するのがベストだとEテレの「趣味の園芸 やさいの時間」で説いていたが、うちの収穫し損ねた最も大きいきゅうりは400gにもなっていた。

そのデカいきゅうりを「キムチの素」に漬け込んだが出来はイマイチだった。次々と収穫し始めたら、やはりピクルスをつくろうと心を決めた。

そんな時、NHK-BSの紅茶関連の番組内で、イギリスのアフタヌーンティーに添えられるサンドイッチが紹介されていた。それは、きゅうりのサンドイッチだった。

昔は英国ではきゅうりは旬の高級野菜で、貴族たちの間ではアフタヌーンティーに添えられるサンドイッチの具として重宝されていたという。

それを見て45年前にタイムスリップした。私は伊丹十三の「女たちよ!」で、伊丹が紹介してくれたレシピに従って「キュ-カンバー(きゅうり)・サンドイッチ」を何度も作ってマスターしていたのだった。

バターと少し塩をしたきゅうりをパンではさんだだけのシンプルなサンドイッチが、とても新鮮でおいしかったことを今頃思い出したのだった。アルデンテに茹でるパスタの調理法も「女たちよ!」で学んで、それは今日まで継続できているのに、きゅうりのサンドイッチは長らく食べていないことを思い出したのだ。

ということで、しばらく我が家では朝食でキューカンバー・サンドイッチを食べることにした。楽しみである。

伊丹十三による「女たちよ!」のなかの「キューカンバー・サンドウィッチ」のレシピは以下の通り。

実にけちくさく、粗末な食べ物でありながら、妙においしいところがある。
胡瓜のサンドウィッチというと、みなさん、胡瓜を薄く切って、
マヨネーズをつけてパンにはさむとお考えだろう。
違うんだなぁ、これが。

マヨネーズなんて使うのはイギリス的じゃないんだよ。
マヨネーズじゃなくてバターと塩、こうこなくちゃいけない。
パンは食パン、このサンドウィッチに限り、パンがおいしい必要は少しもない。

これにバターを塗りつけ、薄く切った胡瓜を並べ、塩を軽く振って、
いま一枚のパンで蓋をする。これを一口で食べやすい大きさに切って出す。

たったこれだけのものなんだが、不思議とイギリス以外の国ではお目にかかったことがない