遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ポチたちの背信と変身

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「次は俺の番だったのに」

これは、内閣法制局の長官の座を、外様の外交官(当時在仏大使)の小松一郎に奪われてしまった横畠裕介の独白。(もちろん、私の想像だが。)

しかし、政権の番犬と呼ばれ集団的自衛権違憲ではないとする小松長官は、体調を崩し就任8か月の任期途中で長官を辞任(翌月に癌で死去)し、本職である横畠裕介が長官に就任した。

そしてあろうことか、悪魔に魂を売った横畠は、集団自衛権違憲であるという終始一貫してきた法制局の立場を一変させた。

法制局長官は、内閣法制次長が就任するのが常識なのに、安倍晋三によって順番待ちをする自分を飛び越えて小松が長官に就任した。東大法学部を卒業して、エリートコースをまっしぐら、法制局長官を目指して真正直にお国のために尽力してきたのに、ポチ総理によって横槍が入ったのだ。この時、悔しくて悔しくて、はらわたが煮えくり返って人が変わってしまったのだろうか、それは誰にも分らない。

しかし、とにかく次長のまま小松長官を支えた横畠は、その甲斐があって急にお鉢が回ってきた。一度はあきらめた長官の席に座ることができる。

「時の政権は絶対多数を占めているので、あの馬鹿どもを喜ばせていれば自分の道は未来永劫明るいものだ」と、それまでの自分は捨て、国会でも堂々と野党の質問に対峙し、言い抜け長官に徹して安保法制を通してしまった。

一旦地獄を見たら、極楽に這い上がるためには悪魔に魂を売ることなどお茶の子さいさい。そこには、法曹界にあるはずの正義や矜持や倫理観や浪漫など皆無の世界である。

大阪地検特捜部のばか検事たちがでっち上げ事件をねつ造して、村木厚子さんを逮捕拘束したあの事件も、日本の検察の最大の汚点であった。しかし、村木さんは強靭な精神で無実を勝ち取った。村木さんにはまことに失礼だが、あの事件の犠牲者は彼女だけだった。しかし、安倍晋三とその政権と、その政権に魂を売った横畠長官のために犠牲になる人間は、今後計り知れない数になるだろう。

私は目の前に権力や地位や札束をぶら下げられたことがないので何とも判らないが、そんなことで人は簡単にポチになり下がるのだろうかな。そんな下劣なことをしたら、二度と立ち上がれない病気にかかりそうだがな。

安倍晋三の前に、ポチになり下がった人間はそんなに多くないと思うが、その数少ないポチたちがどうしようもなく低レベルなので、日本全体がポチになり下がってしまいそうである。アメリカかロシアか中国か、あるいはそのすべてに、そう遠くない未来に圧し潰されそうである。

まずは、アベノミクスのおこぼれが空から降ってくるなどというとんでもない勘違いを誰か払しょくしてくれないものか。まったくの畑違いだけど、横畠長官が「安倍はアンポンタンです、教え込まれたウソばかり並べているポチです」とでも言って、男前を発揮して歴史に名を残すというのもあるかもしれない。ないだろうけど(どっちやねん)。