米国大統領選挙のクリントンとトランプのテレビ討論を、CNNのライブ(同時通訳)で視聴。
今日の討論会の印象は、「知性&経験」が「現代史で最悪」を余裕で抑え込んだ。しかし、それで選挙に勝てるかどうかは分からない。
トランプは、知性があり経験も豊かでファーストレディでもあったヒラリーが、財政難に苦しむアメリカを作り出した責任者だと攻め立てる。その点は、いまだ日本は近い将来財政難に立ち至るのだという認識がない安倍晋三よりは、はるかに現状認識ができている。
しかし、ヒラリーはトランプはミソジニー(女性差別者)で人種差別者で納税証明書の開示もしていない男だと、立て板に水の口調であなたは大統領の資格はないと切り捨てた。その痛烈な指摘は的を射てるし、その辺は安倍晋三にも似たドナルド・トランプであろう。
まあよその国の大統領選挙だが、ぶっつけ本番の討論会は、台本がなくてスリリングで面白い。事前に質問事項を知らせていないと答えられない、安倍や菅官房長官のレベルでは、こういう面白い討論会にはならない。そういえば、テレビの生放送でシリアのアレッポを知らないと答えた第3の大統領候補リバタリアン党のゲーリー・ジョンソンは、笑い者なりさがったが、安倍や麻生や菅も同体だろう。
候補者たちは、たたけばほこりが出る、米国民にとって頼りにならない清潔でも正義感もない人たちではあるが、そのことが有権者に透けて見えるシステムになっていることがうらやましいと思う。いろいろダーティーで権力的で人権も危うくなってきた米国でさえ、その程度には日本より民主的である。
米国大統領は、「WASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)」白人でアングロサクソンで新教の人間が就任するものだった。しかし、ジョン・F・ケネディ(アイルランド系カソリック)がはじめてその前例を覆し、オバマ大統領は有色人種として初めての大統領となった。そして、ヒラリー・クリントンは、初の女性大統領への第一歩を輝かしいものにしたテレビ討論会だった。