監督・脚本 フェデリコ・フェリーニ
出演 ジュリエッタ・マシーナ、サンドラ・ミーロ、マリオ・ピス、シルヴァ・コシナ
公開年月 1966年11月19日 上映時間 138分
録り溜めした映画のうちの1本「魂のジュリエッタ」をようやく鑑賞。
イタリア女優といえば、ジーナ・ロロブリジーダ、ソフィア・ローレン、クラウディア・カルディナーレ、ステファニア・サンドレッリ、ロッサナ・ポデスタ、シルヴァ・コシナ、ラウラ・アントネッリ、モニカ・ベルッチのような系譜をたどれるだろうか。私の大好きな女優陣なのだが、ジュリエッタ・マシーナはこの系譜に属さない小柄で個性的な女性。本作は彼女の43歳くらいの時の作品で、「道」から10年の時が経っていた。
映画プロデューサーの妻ジュリエッタ(マシーナ)は、何不自由なく暮らす中年マダム。しかし、夫の浮気を疑い始めてから、心が揺れ始める。
ジュリエッタの子供のころの、学芸会で演じた火刑法廷で自身が火あぶりになるシーンが、トラウマになっていて、悪夢のようにフラッシュバックする。自分が浮気をするために社交界での振る舞いや、広げた交友関係などが、パッチワークのようにファンタジー風に描かれている。
特にストーリーがないパッチワーク映像は、心象風景なのかリアル体験なのか線引きがあいまいなまま私たちは放置される。放置されて居心地が良いはずがないが、フェリーニはそういう映像作家である。
フェリーニとしては初のカラー作品なのだそうで、無声映画から初めてのトーキー「モダンタイムス」を撮ったチャップリンみたいにはしゃいでいる。カラフルなハギレのような映像をペタペタとスクリーンに貼り付けて、妻マシーナを主演にしてお茶目に楽しんでいるのである。