遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

BBCが選んだ「最も偉大な非英語圏映画 TOP100」

f:id:toship-asobi:20201030142336j:plain

今読んでいるイギリスのミステリーに出てきたのが「ブロンプトン墓地」。小説によると、ロンドンにある七大墓地のひとつなのだだそうだ。

で、その七大墓地の英語フリガナに「マグニフィセント・セブン」と振ってあり、映画「荒野の七人」の原題も「マグニフィセント・セブン(The Magnificent Seven)」だったなあと思う。

黒澤明の「七人の侍」のリメイク版西部劇である「荒野の七人」は、ジョン・スタージェス監督の1960年作品。私は高校生の頃に、映画館のリバイバル上映で観たがスティーブ・マックイーンユル・ブリンナージェームズ・コバーンたちがカッコよくて、勧善懲悪ストーリーが面白すぎて楽しい思い出を作ったのだった。

七人の侍」は1954年作品で、高校生のときに「荒野の七人」を見た時点で、私は「七人の侍」の存在自体もよく知らなかったと思う。私は高校生の頃から洋画ファンになり、30歳くらいまで洋画を見まくっていたので、「七人の侍」全編をしかもテレビで見たのはすでに40代だったかもしれない。

その後、大枚はたいて「七人の侍」のDVDを買って、字幕表示にしてじっくり楽しんだ。

で、さきほどの小説を読みながらふと思ったのが、「七人の侍」の英語版のタイトルは何だったのだろうと気になってググってみたら″The Seven Samurai″だと知った。
その際に出くわしたのが「1位は『七人の侍』 英BBC「最も偉大な非英語圏映画 TOP100」というコラム。
http://amass.jp/112850/
それによると、これはセリフが英語以外の世界の映画のベスト100を選ぶという約2年前のBBCの企画だったようだ。

その1位に輝いたのが「七人の侍」だった。

 

f:id:toship-asobi:20201030142440j:plain

上位10だけここでご紹介すると
1. Seven Samurai (Akira Kurosawa, 1954) 七人の侍 (監督)黒澤明 日本
2. Bicycle Thieves (Vittorio de Sica, 1948) 自転車泥棒 ビットリオ・デ・シーカ 伊
3. Tokyo Story (Yasujiro Ozu, 1953) 東京物語 小津安二郎  日本
4. Rashomon (Akira Kurosawa, 1950) 羅生門  黒澤明  日本
5. The Rules of the Game (Jean Renoir, 1939) ゲームの規則 ジャン・ルノアール 仏
6. Persona (Ingmar Bergman, 1966) 仮面/ペルソナ イングマル・ベルイマン スウェーデン
7. 8 1/2 (Federico Fellini, 1963)  8 2/1  フェデリコ・フェリーニ 伊
8. The 400 Blows (Francois Truffaut, 1959) 大人は判ってくれない  F・トリフォー  仏
9. In the Mood for Love (Wong Kar-wai, 2000) 花様年華  ウォン・カーウァイ 香港
10. La Dolce Vita (Federico Fellini, 1960) 甘い生活 フェデリコ・フェリーニ 伊

レジェンドともいうべきすごい映画作家作品をしのいで、日本映画が上位を占めることにいいまさらながらうなってしまう。

東京物語」の良さがよく分かったのは娘たちが嫁いだ後の年老いた最近のことで、名作は何度見ても違って見えるところが何とも素晴らしいのである。

世界の映画評論家が選んだからこの100本になったのだろうが、英米以外の映画製作は日本とイタリアとフランスが伝統と質で一頭地を抜く存在である。

ちなみに100位以内に入った他の日本映画は以下のとおり。
37. Spirited Away (Hayao Miyazaki, 2001) 千と千尋の神隠し  宮崎駿
53. Late Spring (Yasujiro Ozu, 1949) 晩春  小津安二郎
61. Sansho the Bailiff (Kenji Mizoguchi, 1954) 山椒大夫  溝口健二
68. Ugetsu (Kenji Mizoguchi, 1953) 雨月物語 溝口健二
72. Ikiru (Akira Kurosawa, 1952) 生きる  黒澤明
79. Ran (Akira Kurosawa, 1985)    黒澤明
88. The Story of the Last Chrysanthemum (Kenji Mizoguchi, 1939) 残菊物語 溝口健二
95. Floating Clouds (Mikio Naruse, 1955) 浮雲  成瀬巳喜男

 

どれもこれもとってもマグニフィセント(気高い,崇高)な作品群なのである。