遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

モーツァルト:ピアノ協奏曲/マリア・ジョアン・ピリス

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モーツァルト:ピアノ協奏曲第14番&第26番「戴冠式

録音 1993年

モーツァルトは35年の生涯に、ピアノ協奏曲を27曲も作曲したという。

ご紹介のアルバムは、1993年にスタジオ録音されたモーツァルトのピアノ協奏曲14番と、ライブ録音された26番がカップリングされた1枚である。

演奏は、ピアノがマリア・ジョアン・ピリス(ピレシュ)(1944- )、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、指揮はクラウディオ・アバド(1933-2014)。

ウィーン・フィルの演奏は、特に弦楽器はあくまでも透明で、40歳のピレスの溌剌として軽やかな演奏は、猛暑の夏にふさわしい心地よさ。涼しくなる。

ピレスというピアニストはよく知らなかったのだが、たとえばモーツァルトピアノソナタでは、現代の第一人者だという。

音楽之友社の「新編 名曲名盤300 ベストディスクはこれだ! 」では、モーツアルトのピアノ・ソナタは、5曲紹介されているが、ピリスの演奏したアルバムがそのうち4曲が1位、1曲が2位である。

モーツァルトピアノソナタ8番(89年録音、以下全てグラモフォン)で2位、
10番(90年)、11番・トルコ行進曲付き(90年)、14番(90年)、15番(89年)で全て1位。

生涯で800曲以上もの曲を作ったモーツァルトの旋律やハーモニーは、思わせぶりなところがなく自然で心地よい。比類なき心地よさである。

このリスボン生まれのさわやかなピアニストと、モーツァルトの相性はとてもいいのだろうと思う。ジャケットの笑顔からだけでもそのことがうかがえる。
(ジャケット右の男性は、昨年亡くなられたアバド氏)

御年71歳のピリスは、今秋各地で来日コンサートが予定されている。