遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番/リヒテル

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前奏曲集(第12番ハ長調Op.32-1/第13番変ロ短調Op.32-2/第3番変ロ長調作品23-2/第5番ニ長調Op.23-4/第6番ト短調Op.23-5/第8番ハ短調 作品23-7)

スヴィヤトスラフ・リヒテル(ピアノ)
指揮:スタニスラフ・ヴィスロツキ

ステレオ録音:1959年4月26日-5月2日、ワルシャワ


ソチの冬季五輪で、浅田真央がフリー演技で使った美しいドラマチックな曲が、ラフマニノフピアノ協奏曲第2番である。

今回ご紹介の1枚は、リヒテルの演奏するラフマニノフの2番で、ヴィスロツキ指揮のワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団との共演盤である。ステレオ録音は1959年。

私がクラシックを聴き始めた40年前から、この1枚は名盤だったようで、私のグラモフォンのクラシックCDコレクションに入っていた。
リヒテルは、チャイコフスキーの協奏曲1番(カラヤン指揮・ウィーンフィル、1962年録音)をレコードでもCDでも所有しているが、ラフマニノフは初体験。第一楽章冒頭のつとに有名なメロディーはおなじみであるが、きちんと聞くのはこれが初めて。

ラフマニノフ1873年生まれ(1943年没)のロシアのピアニストにして作曲家である。生前は、チャイコフスキー(1840-1893)やチェーホフ(1860-1904)と同時代を生きており、この二人の巨人に才能を認められ、目をかけられ、励まされたという。
ラフマニノフは、チャイコフスキーの死や自ら作曲した交響曲1番の初演の失敗で、精神的ダメージを受け、何とか立ち直るきっかけとなったのが、このピアノ協奏曲2番の成功と時代の称賛であった。

好きな女性に捧げた愛の1曲かと思いきや、挫折により突き落とされた奈落の底から浮上するため、起死回生の思いが込められた魂の旋律である。そう思って聴いてみると、リヒテルの演奏は、ロマンティックなワルシャワ国立フィルの演奏をバックに、ラフマニノフの再生のための熱情がほとばしる。

今ちまたで発売されているアルバムは、このアルバムに、リヒテルチャイコフスキーの協奏曲1番(カラヤン指揮・ウィーンフィル、1962年録音)とカップリングにされたもので、そんな名盤を1200円ほどで売りに出していることに驚くが、買いである。