スヴィヤトスラフ・リヒテル(ピアノ)
指揮:スタニスラフ・ヴィスロツキ
ステレオ録音:1959年4月26日-5月2日、ワルシャワ
私がクラシックを聴き始めた40年前から、この1枚は名盤だったようで、私のグラモフォンのクラシックCDコレクションに入っていた。
リヒテルは、チャイコフスキーの協奏曲1番(カラヤン指揮・ウィーンフィル、1962年録音)をレコードでもCDでも所有しているが、ラフマニノフは初体験。第一楽章冒頭のつとに有名なメロディーはおなじみであるが、きちんと聞くのはこれが初めて。
ラフマニノフは1873年生まれ(1943年没)のロシアのピアニストにして作曲家である。生前は、チャイコフスキー(1840-1893)やチェーホフ(1860-1904)と同時代を生きており、この二人の巨人に才能を認められ、目をかけられ、励まされたという。
好きな女性に捧げた愛の1曲かと思いきや、挫折により突き落とされた奈落の底から浮上するため、起死回生の思いが込められた魂の旋律である。そう思って聴いてみると、リヒテルの演奏は、ロマンティックなワルシャワ国立フィルの演奏をバックに、ラフマニノフの再生のための熱情がほとばしる。
今ちまたで発売されているアルバムは、このアルバムに、リヒテルのチャイコフスキーの協奏曲1番(カラヤン指揮・ウィーンフィル、1962年録音)とカップリングにされたもので、そんな名盤を1200円ほどで売りに出していることに驚くが、買いである。