遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

モーツァルト:クラリネット協奏曲/カール・ベーム

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本日ご紹介のアルバムは、この春私が愉しんできましたモーツァルトクラリネット協奏曲です。
演奏はカール・ベーム指揮のウィーンフィルハーモニー管弦楽団と、クラリネットアルフレート・プリンツ。録音時期は1972年。

ベームのこのアルバムは、テンポが遅めらしいのですが、まったく違和感なくすんなりと体細胞にしみ込んでくれる名演奏で、体調管理に調合された漢方薬のような効果が望めます(個人差はあります)。

また、その軽快感は、五月晴れに自転車でゆるやかな坂をゆっくり駆け下りるような感じで、何の引っ掛かりも出っ張りも息切れもない滑らかなメロディに、モーツァルトの天才ぶりがうかがえます。これは、モーツァルトが35歳で亡くなった1791年に作曲された最晩年の作品なのだそうです。

モーツァルトの全ての曲の中でも最上位の人気を誇るこの協奏曲は、二楽章は少ししめやかな感じもしますが、全体を通して溌剌とした楽しい作品で、くせのない万人向けの作品であります。YouTubeには、さまざまな演奏がアップされていますので、お好みで楽しむのもいいかと存じます。

本アルバムには、フルートとファゴットの2つの協奏曲(録音も同時期)も収められており、とてもサービスが行き届いたアルバムに仕上がっています。拍手。