遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

スーパー・チューズデー/ジョージ・クルーニー

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スーパー・チューズデー ~正義を売った日~
The Ides of March
原作 『Farragut North』
ボー・ウィリモン
出演者
日本公開  2012年3月31日
上映時間  98分


2004年のアメリカ大統領予備選の演説で、「イイェー!」と裏声で叫んで予備選を棒に振った政治家誰だったかなーと、ネットで探して、ハワード・ディーンにたどり着いた。
そのハワード・ディーンの大統領予備選のスタッフだったボー・ウィリモンが、その経験を活かして本作「スーパー・チューズデー」の原作を書いた。全く知らない映画だったが、レンタルDVDの候補リストに加えておいた結果、今回鑑賞の機会を得た。

大統領候補役を、ジョージ・クルーニーが演じるが、監督・脚本・製作にまでクルーニーは加わっている。画像のTIMEの表紙がクルーニーで、左半分の顔が物語の主人公で、若き選挙参謀ライアン・ゴズリング)。この主人公と、もう一人の先輩格の選挙参謀フィリップ・シーモア・ホフマンが好演)を通して、民主党候補同士の予備選での熾烈な選挙戦を映画作品で見ることができる。

候補者にスキャンダルがあると、正確に言えばスキャンダルがメディアに漏れると、選挙戦には計り知れないダメージを伴うことが、分かりやすく描かれている。アメリカの大統領になるのは、ほぼ完ぺきな人物でなければ無理だと再確認させられる。その人物象は、イメージ戦略で作り上げられるもので、「完璧な人物」だと思い込ませて有権者に投票させる戦略を練るスタッフが何人も要る。その舞台裏をよく描いている。

ウォーターゲート事件を描いた「大統領の陰謀」のような史実に基づいた迫力はないが、物語の流れが複雑で登場人物が入り組んだような難解さはなく、テレビドラマのような万人向けの物語である。これはこれで好感が持てる。

政治家は選挙屋みたいなところがあり、中には選挙活動しかしないのではないかと思わせるようなお方もいる。ことほどさように、選挙の舞台裏は、きれいごとばかりではないよということがよくお勉強できる。泥仕合に近い政党内での予備選という激戦を制して、民主党共和党候補による大統領選挙が実施される。
それでもなお米国民は、直接自分たちで大統領に投票することができる幸せを享受できる。