遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

詩人に霊感を与えるミューズ/アンリ・ルソー

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アンリ・ルソー (1844 - 1910)
≪詩人に霊感を与えるミューズ≫
1909年 油彩、カンヴァス 131×97cm
 
プーシキン美術館展」、最後に紹介するは、アンリ・ルソーの作品。
 
税関吏で日曜画家だっただったアンリ・ルソーは、50歳手前で職を辞し年金生活に入り、本職の画家になったという。「普通人」だったのに、一目で彼の作品だとわかるこの際立つ個性が確立されていてすごい。
 
彼は60代半ばでこの世の人でなくなったので、プロ生活は15年くらいの短期間であった。おそらく作品数は多くないと想像できるが、にもかかわらず世界中の美術館に彼の作品は所蔵展示されている。
オルセー、オランジュリー、ニューヨーク近代、プラハ国立を始め、国内では、大原、東京国立近代、ポーラ、ひろしまブリジストン、世田谷などの美術館が彼の作品を所蔵している。
 
そして、プーシキン美術館は「詩人に霊感を与えるミューズ」を所蔵。恋人たち、詩人のギヨーム・アポリネールと、画家のマリー・ローランサンがモデルの幸せな作品である。(今回の展示作品の中には、ローランサン自身の作品、女性の顔を描いた素敵な作品も展示されていた。)
 
人を作品の前に釘付けにさせるパワーがルソーには備わっていて、世界中の美術館で彼の作品の前で訪れた人たちを立ち止まらせ、魅了していると、想像に難くないのである。ああ、死ぬまでにもう一度オルセーに行きたい。