遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

マルケの「パリのサン=ミシェル橋」

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プーシキン美術館展(大阪国立国際美術館にて10月14日まで開催)から、アルベール・マルケの「パリのサン=ミシェル橋」をご紹介。

マルケという画家を知らなかったのですが、この作品はとても印象に残りました。
1908年頃の作品で、大きさは65×81cmで、大作ではありません。

当時、マルケはかつてマティスも暮らしたサン=ミシェル河岸に移り住み、自宅の部屋の窓から見下ろすように、少し高い視点からサン=ミシェル橋の往来を描いたようです。

パリはどこをどう切り取っても絵になる素晴らしい都市ですが、だからと言って誰でもが作品を仕上げられるわけではありません。マルケの自宅の窓からは、セーヌ川の奥行きのある河岸が望め絶好の被写体が広がっています。

私が惹かれたのは、穏やかな色調で単純化されたパリの街角が表されているところです。構図も色使いもタッチも対象物の省略の仕方も、日曜画家にとってはとても参考になります。

「参考」になるだけでなく、その風景に溶け込みたいと思わせます。こういうのを、エンターテイメントというのかもしれません。芸術は、政治や経済と違って、難しいことはよくわからないけど、まあ楽しければいいじゃないかと心が和みます。

下の画像は、上の作品から100年後のサン=ミシェル橋であります。絵になる橋であります。

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