遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ブルー・トレイン/ジョン・コルトレーン

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ブルー・トレイン/ジョン・コルトレーン

ジョン・コルトレーン(30) - テナー・サックス
リー・モーガン(29) - トランペット
カーティス・フラー(22) - トロンボーン
ケニー・ドリュー(28) - ピアノ
ポール・チェンバース(22) - ベース
フィリー・ジョー・ジョーンズ(34) - ドラム


1. ブルー・トレイン
2. モーメンツ・ノーティス
3. ロコモーション
4. アイム・オールド・ファッションド
5. レイジー・バード
6. ブルー・トレイン(別テイク)
7. レイジー・バード(別テイク)

録音 1957年9月15日


高校生の吹奏楽は無条件に楽しくて素晴らしいが、大人のジャズ吹奏楽もこれまた楽しい。

マイルス・デイヴィスのグループから抜けたジョン・コルトレーンは、
自分がリーダとなってコンボ(小編成バンド)を持った。

コルトレーンの初期の有名なアルバムは、プレスティッジというレーベルに多く残されているが、
この「ブルー・トレイン」は、唯一ブルーノートレーベルで録音されたリーダーアルバムである。

この「ブルートレイン」録音後10年経った1967年に、コルトレーンは40歳で亡くなっている。
亡くなる前年の1966年には日本でツアーを行っており、私がジャズを聴き始めたころ(70年代初め)、
ジョン・コルトレーンの人気は大変なものだった、全てのジャズマンの中で間違いなく一番人気だった。

さて、このアルバムを録音した30歳当時のコルトレーンは、実に「饒舌」な演奏を聞かせてくれる。
ちょっとお喋りしすぎるくらい、サービス過剰気味のテナーサックスなのだが、
まだ青いトレーンらしくて、マイル氏から離れて独り立ちするぞという熱気が感じられる。

共演のリー・モーガンのトランペットもさらに饒舌な演奏を聞かせてくれる。

ただ、トロンボーンの音はまるくてゆるりとしている。
このアルバム唯一のゆったりしたバラード「4. アイム・オールド・ファッションド」の、
カーティス・フラートロンボーンの舌足らずさはたまらなく魅力的である。
22歳の青年の老練さなのか青さなのか楽器の特性なのかわからないが、とにかく渋い演奏である。

リズムセクションの3巨人は言うまでもなく、申し分ない躍動感を披露してくれる。

ジャケット写真のコルトレーンの表情と、おまけテイクはいただけないが、
平均年齢27.5歳の大人の吹奏楽、青くてはつらつとしていて、元気が出る。