遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

カインド・オブ・ブルー/マイルス・デイヴィス

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カインド・オブ・ブルー

曲目
1.ソー・ホワット
2.フレディ・フリーローダー
3.ブルー・イン・グリーン
4.オール・ブルース
5.フラメンコ・スケッチ
6.フラメンコ・スケッチ(別テイク)

録音 1959年2月(1-3)、4月(4-6)

パーソネル
マイルス・デイヴィス - トランペット
ジョン・コルトレーン - テナー・サックス
キャノンボール・アダレイ - アルト・サックス(3.を除く)
ビル・エヴァンス - ピアノ
ウィントン・ケリー - ピアノ(2.のみ)
ポール・チェンバース - ベース
ジミー・コブ - ドラム


ビル・エヴァンスの「ポートレイト・イン・ジャズ」の記事を書いてからほぼ3週間、毎日「カインド・オブ・ブルー」を聴いている。

いまだに、コルトレーンのテナーサックスと、キャノンボールのアルトサックスが聞き分けられない。
しかし、2曲目だけ参加のウィントン・ケリーは、ブルージーで少しファンキーでとても好演だが、ビル・エヴァンスのピアノは、それとは明らかにスタイルもステージも違っている。
その違いが、録音された1959年では考えられないほど、このアルバムを新しいスタイルに仕上げている。

その新しさに、マイルスはぞっこんだったようで、すでにマイルスのグループを抜けていたエヴァンスを呼んで、このアルバムを制作したようだ。

エヴァンスはこのアルバムのライナーノーツも執筆していて、
There is a Japanese visual art in which the artist is forced to be spontaneous.
という書き出しにはっとし、ネットでこのノーツの訳を探した。
彼は、自分たちの音楽を日本の水墨画の作家とその技法に例えて、白い和紙に命がけで線を描くように、頭の中に生まれた着想を瞬時に無意識に自然に演奏するために、特別な鍛錬が必要なのだと書いている。

どの曲も、事前に取り交わされた約束通りに進行するユニゾンの部分は、モノトーンの雰囲気がある。
即興演奏に移ると、各人は身を低くした、しかし変幻自在なステップで聴くものを楽しませる。
まったく波立たない湖面をすべる船のような、束縛されない自由さに録音から50年以上経っても斬新さがある。

私はここ2年ほど、60年代後半のマイルスからさかのぼって、つまり、チック・コリアウェイン・ショーターなどがいた第二期黄金クインテット時代から、さかのぼってマイルスを丁寧に聴いてみた。
本アルバムで大きな新しいスタイルが音楽シーンに生まれたと実感できる、そこまでして、ようやくこの不思議なアルバムの神髄に近づけたと実感できる。

この斬新さがクール・ジャズなる由縁なのだろうか、ジャズなのにことのほか人気があることに、ほんとに皆これが好きなのだろうかと、何度聴いても驚く。

2003年、ローリング・ストーン誌が選出した「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」で、「カインドオブ・ブルー」は、ジャンルを超えたすべてのアルバム500の12位にランク・インしている。

1.Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band The Beatles
2.Pet Sounds Beach Boys
3.Revolver The Beatles
4.Highway 61 Revisited Bob Dylan
5.Rubber Soul The Beatles
6.What's Going On Marvin Gaye
7.Exile on Main Street The Rolling Stones
8.London Calling The Clash
9.Blonde on Blonde Bob Dylan
10.The White Album The Beatles
11.The Sun Sessions Elvis Presley
12.Kind of Blue Miles Davis

スイングジャーナル読者が選ぶジャズ名盤ベスト100
(SJ誌2001年1月号で実施された読者アンケート企画で選出されたもの)
第2位