遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード/ジョン・コルトレーン

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ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード
ジョン・コルトレーン   価格: ¥1,500 (税込)

曲目リスト
1.スピリチュアル
2.朝日の如くさわやかに
3.チェイシン・ザ・トレーン

録音:1961年11月2日,3日

■パーソネル
ジョン・コルトレーン(ts,ss)
エリック・ドルフィー(b-cl)
マッコイ・タイナー(p)
ジー・ワークマン(b)
エルビン・ジョーンズ(ds)



以前紹介した、ピーター バラカン (著)「ぼくが愛するロック名盤240」に、
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/10277231.html

240枚のロック名盤の中の1枚として登場するのが、

この、ジョン・コルトレーンの「ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」である。

まったくロックじゃないけど。


このCDは、NYのジャズクラブ、ヴィレッジ・ヴァンガードでの、

1961年11月のライブ録音である、時にコルトレーン35歳であった。


コルトレーン(1967年7月40歳で死去)の晩年のクァルテットは、

マッコイ・タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)

が、輝く不動のメンバーであったが、このライブでは、すでにマッコイとエルヴィンが参加していて、

トレーンをサポートしている。


「1.スピリチュアル」にだけ、エリック・ドルフィーが、バスクラリネットで出演していて、

5人が、スピリチュアル(黒人霊歌)の真髄のようなな演奏を聴かせてくれる。

崇高な重厚な5人のプレイが、ラファエロの聖母の絵のようである。


「2.朝日の如くさわやかに」は、マッコイのピアノ・トリオのような、

実に爽やかな演奏が続き、トレーンが後半、そっと仲間に入ってくる。

誰が聞いても、気持ちのいい、オーソドックスなスタイルのジャズである。


「3.チェイシン・ザ・トレーン」は、マッコイのピアノ抜きの演奏になっている。

録音技師がマイクを持って、お客の足を踏んだり飛び越えたりしながら、

動き回るトレーンを追いかけまくって、録音したので、

このようなタイトルになったようである。

トレーンの神がかり的な、タイトルもない即興で吹いた演奏なのに、

ジーとエルヴィンはよくぞ追随したなと、驚いてしまう。



私が、このCDを聴きながら夜中に記事を書いていたら、

そばで転寝していた長女が、「うるさい」といって、自分の部屋へ行って寝てしまった。

100人中95人は、うるさいというだろうなぁ。


この3曲は、まったく違う性格と顔を持っている。

たとえていうなら、

1がエヴァ・ガードナー、2がオードリー・ヘップバーン、3がジャンヌ・モローか。

下手な例えになってしまったが、私は3人とも好きな女優であるが、

まったくタイプの違う3人である。


むかし通ったジャズ喫茶の、アルテックJBLのスピーカーで、

レコード盤を、もう一度じっくり聴いてみたいものである。

我が家のしょぼいオーディオ・セットでは、余裕がない「うるささ」なのだ。


でも、このCDの愛に満ちた演奏は、しっかり伝わってくる。


いずれにしろ、この歴史的名演を生で聴けた、羨ましい人たちの数は、

「数十人×2(日間)」なのである。


スイングジャーナル読者が選ぶジャズ名盤ベスト100
第45位