遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

マーラー:交響曲第4番/ロリン・マゼール

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1. 第1楽章 落ち着いて
2. 第2楽章 気楽な動きで、急がずに
3. 第3楽章 静かに
4. 第4楽章 非常にのんびりと

録音:1983年11月 オーストリア ウィーン


美空ひばりビリー・ホリデイと連続で歌姫を取り上げてきて、

3夜目は、キャスリーン・バトルである。

このマーラー交響曲第4番には、第4楽章にソプラノのパートがある。

私のアルバムは、ロリン・マゼール指揮のウィーン・フィル盤で、

ソプラノがキャスリーン・バトルである。


  ♪我らは天上の喜びを味わい
   
   それゆえに我らは地上の出来事を避けるのだ。

   どんなにこの世の喧噪があろうとも

   天上では少しも聞こえないのだ!

といった内容の歌曲が10分間の第4楽章に用意されている、麗しい交響曲である。


シノーポリドレスデン交響曲大地の歌」のイリス・ヴェルミヨン(アルト)が

とてもキュートだったが、 http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/64062172.html

この4番のキャスリーン・バトルも同じくとても素晴らしい。

もともとマーラーの歌曲が、ことばとメロディーの響き方が、

多に類を見ない独特なもので、私にはとても斬新で心地よい。

なので、当然に、実力あるソプラノが歌い上げれば、素晴らしくなるのである。


それぞれの楽章にタイトルがつけられているが、

「落ち着いて」「急がずに」「静かに」「のんびりと」など、

どれも同じようなタイトルで、要するに全体的には、

広い川幅でゆったり流れるドナウのような交響曲なのである。

河岸の風景はさまざまで、その味付けの違いは楽章ごとに設定してある。


19世紀末の1900年に完成したこの交響曲は、

当時マーラーが常任指揮者をしていた、ウィーン・フィルの演奏が、

110年後の今でも、もっとも相応しいのかもしれない。

マゼールの端正な解釈と、ウィー・フィルの上品な統一感の取れた演奏が、

非の打ちどころがない仕上げとなっているのが、このアルバムである。


マーラー交響曲、ドナウの清き流れ、静謐なウィーンの街、品格あるウィーン・フィル

どれをとっても世紀を超えて健在なのである、見事なのである。