遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

レディ・デイ:ザ・ベスト・オブ・ビリー・ホリデイ

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ビリー・ホリデイは、レディ・デイと呼ばれることが多い、
レディのような風格を持ったホリデイで、レディ・デイ。
彼女がもっとも風格があるのは、もちろん歌を歌うときである。

私の二十歳の頃、映画「ビリーホリデイ物語 奇妙な果実」が公開された。
ダイアナ・ロスがレディを演じた映画だったが、
私は映画は見ずに、レディの自伝「奇妙な果実」を読んだ。
 
この自叙伝の翻訳は、私のジャズの先生だった油井正一と、
すでにジャズ評論家は卒業していた大橋巨泉
ジャズを聴き始めたばかりの頃だった私は、
著名なジャズメンが登場する本書を夢中で読んだ。
しかし、レディの太く短い数奇な半生の方に心打たれた。

そして、初期のレディの代表曲36曲を厳選したベスト盤が、
「レディ・デイ:ザ・ベスト・オブ・ビリー・ホリデイ」。
 
画像はそのアルバムと、私の本棚から取り出した古びた「奇妙な果実」である。

アルバムの録音は1935年から1945年の頃のもので、
1915年生まれのビリー・ホリデイの、
20歳から30歳までの、絶頂期の頃のオムニバスのベストアルバムである。
彼女は1959年に44歳で亡くなっているが、
晩年はアルコールと薬物依存で、声が出にくくなっていたので、
30歳までのホリデイは、絶頂期だったといえるのである。
そのことは、このアルバムを聴けば理解できる事である。

アルバムの1曲目のWhat A Little Moonlight Can Doは、
レディの20歳の熱唱である。
 
 
解説や感想の必要のない歌唱である。