ステレオ録音:1961年7月4-5日、ベルリン
1990年前後だったと記憶しているが、
今建て替え中の大阪フェスティバルホールで聴いたことがある。
ああいう大ホールで演奏されるに相応しい、
ベートーベンの華やかなピアノ協奏曲である。
「交響曲にピアノ演奏もつけてみました」的な曲である。
はじめて北海道を旅したときに、このピアノ協奏曲が、
レンタカーのカーラジオから流れたことをよくおぼえている。
もう30年以上も前のことなのに。
ゆっくりと車窓を動いていく大らかな北の大地と、
この曲の雰囲気とが重なり合って、ベートーベンと北海道は実に相性がよかった。
偶然の演出だったのに、いまも忘れることのないシーンであった。
さて我がコレクションには、ケンプの1961年の録音の同じ音源のものが2枚あった。
うち一枚は、ケンプとベルリンフィルの組み合わせなら問題ないだろうと、
思ったのかどうかも記憶していない遠い昔に買ったもの。
もう一枚は最近購入したごちゃ混ぜBOXに偶然入っていたもの。
私には生で聴いた中村紘子は記憶になく、
なので、ケンプとベルリンフィルのこの録音が私の「皇帝」ということになる。
また、コンサートホールの大音量で聴きたくなってきた。
新フェスティバルホールの杮落としシリーズでは、
誰かがこの大向こう受けする、華やかなコンツェルトを弾くような予感もする。