遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番/ケンプ

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ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73『皇帝』

ヴィルヘルム・ケンプ(ピアノ)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:フェルディナント・ライトナー

ステレオ録音:1961年7月4-5日、ベルリン


1990年前後だったと記憶しているが、

朝比奈隆が振った、中村紘子のピアノ協奏曲第5番変ホ長調を、

今建て替え中の大阪フェスティバルホールで聴いたことがある。

ああいう大ホールで演奏されるに相応しい、

ベートーベンの華やかなピアノ協奏曲である。

交響曲にピアノ演奏もつけてみました」的な曲である。


はじめて北海道を旅したときに、このピアノ協奏曲が、

レンタカーのカーラジオから流れたことをよくおぼえている。

もう30年以上も前のことなのに。

ゆっくりと車窓を動いていく大らかな北の大地と、

この曲の雰囲気とが重なり合って、ベートーベンと北海道は実に相性がよかった。

偶然の演出だったのに、いまも忘れることのないシーンであった。


さて我がコレクションには、ケンプの1961年の録音の同じ音源のものが2枚あった。

うち一枚は、ケンプとベルリンフィルの組み合わせなら問題ないだろうと、

思ったのかどうかも記憶していない遠い昔に買ったもの。

もう一枚は最近購入したごちゃ混ぜBOXに偶然入っていたもの。

私には生で聴いた中村紘子は記憶になく、

なので、ケンプとベルリンフィルのこの録音が私の「皇帝」ということになる。


また、コンサートホールの大音量で聴きたくなってきた。

フェスティバルホールの杮落としシリーズでは、

誰かがこの大向こう受けする、華やかなコンツェルトを弾くような予感もする。