遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ブリリアント・コーナーズ/セロニアス・モンク

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ブリリアント・コーナーズ

曲目リスト
1. ブリリアント・コーナーズ
2. バルー・ボリヴァー・バルーズ・アー
3. パノニカ
4. アイ・サレンダー、ディア
5. ベムシャ・スウィング

セロニアス・モンク (p)
ソニー・ロリンズ (ts)(4.を除く)
アーニー・ヘンリー (as)(on 1.2.3.)
クラーク・テリー  (tp)(on 5.)
オスカー・ベティフォード (b)(on 1.2.3.)
ポール・チェンバース (b)(on 5.)
マックス・ローチ (ds)(4.を除く)

録音 1956年10月9日-12月7日 ニューヨーク


ブリリアント・コーナーズ」は、セロニアス・モンクの代表的なアルバムだが、

これまた好き嫌いが分かれる作品である。


「セロニアス・ヒム・セルフ」はピアノソロだからまだ許容できた不協和音が、

コンボ全体にいきわたると、このような作品に仕上がる。


ジャズ入門としては、とても推奨できないアルバムである、

さまざまなジャズ・ミュージシャンの名盤を聴いて、

たとえば、ソニー・ロリンズの「サキソフォン・コロッサス」を聴いたり、
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/11507278.html

ポール・チェンバースが参加している、

ソニー・クラークの「クール・ストラッティン」を聴いたり、
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/8372707.html

その他いろいろ聴いて、ここへ到達されたい。


受験勉強をしながら聴ける音楽でも、愛を語るバックに流す音楽でも、断じてない。


ただ、フリージャズのようにリズムもハーモニーもなく、

スウィングしないジャズではない。

リーダーが、たとえばマイルスからモンクに変われば、

音楽的個性はこんなにも違ってくるものなのかと、感心する。

50年前の、ブリリアントなジャズシーンの一端を堪能できる、

今でもまったく色あせない、光り輝く鮮やかなサウンドが満喫できる。


頭の先から足先まで完璧にドレス・アップすれば、

誰でもそれなりに男前になるのだが、

モンクの作品は、ドレス・ダウンでカッコイイ男、

つまり、センス良く着崩す高度な着こなしの男前、のような音楽なのである。


モンクは、決してジャケット写真のような、柔和な顔をしてレコーディングしていたようではなく、

何かひと悶着あったことは、5曲目にポール・チェンバースが入ったことで想像できる、

オスカー・ベティフォードとのあいだに、不協和音があったようである。


「4. アイ・サレンダー、ディア」のみピアノ・ソロで、

これまた秀逸な演奏で、彼は共同作業より独りでいるほうが、より男前なのである。