遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ラウンド・アバウト・ミッドナイト/マイルス・デイビス

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ラウンド・アバウト・ミッドナイト/マイルス・デイビス

◆収録曲
1.ラウンド・アバウト・ミッドナイト
2.アーリューチャ
3.オール・オブ・ユー
4.バイ・バイ・ブラックバード
5.タッズ・デライト
6.ディア・オールド・ストックホルム



「モダン・ジャズは、ほかの人から教えられて好きになっていくような性質のものでなく、
ふとしたある瞬間、まだ経験したことのないような新しい興奮をあじわったことから、
しぜんと好きになっていくものなのです。」

これは植草甚一のことば。

1956年、植草甚一はモダン・ジャズを聴いたとたんにその虜になった。
そのときすでに49歳、中年になってジャズに夢中なる。

その引き金になったのが、マイルス・デイビス
「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」とされている。

私は、「マイルスの『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』を聴くと、
夜の街を歩きたくなっちゃうんですよねぇ。」
と話す、晩年の植草の肉声を聞いたことがあり、
このジャケットを見るたびに、彼の言葉を思い出すのである。


パーソネルは泣く子も黙る最強のマイルス第一期クィンテットである。

彼らがコロムビアに移籍しての初レコーディングがこの「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」。
同時期に彼ら5人組は、プレスティッジで契約していたレコーディングの残業も行なっており、
「ワーキン」「スティーミン」「リラクシン」「クッキン」の4枚のアルバムを製作し、
プレスティッジ・レーベルの代名詞となる歴史的なアルバムに仕上げている。

さて、アルバム「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」だが、
冒頭、セロニアス・モンクの同名曲を当時30歳のマイルスとコルトレーンがしっとりと歌い上げ、
世のジャズファンを悩殺させている。

以下、チャーリー・パーカーの「2.アーリューチャ」、コール・ポーターの「3.オール・オブ・ユー」など、
硬軟(?)取り混ぜて、レッド・ガーランドポール・チェンバースフィリー・ジョー・ジョーンズが担ぐ神輿に、
マイルスとコルトレーンが上手に乗せられて夜の街を練り歩く。

あぁ、夜の街が待っている。