最終18番、3打目をピン上4mにつけた宮里は、 「手が震えていた」というこの下りのバーディパットを沈めて、 土壇場で通算14アンダーの単独首位に躍り出た。
この18番の4mのパットがすべてだったと思う。
あのバーディは、どん底から這い上がってきたゴルファーへの、
神からの贈り物だったと思う。
私は、宮里ほど性格がよくて、マナーのいいアスリートを見たことがない、
グリーンの上でも、私生活でも、きちんとした女子なのだと思う。
話が逸れ、しかもうろおぼえの話ではあるが、かつてこんなことがあった。
岡本綾子と優勝争いをしていた同じパーティの外国人選手がパーパットをはずしたときに、
ギャラリーの一部が拍手をしたことがあった。
岡本は当時スーパースターであり、その人気たるや今で言えば石川遼に匹敵するくらいのものだった。
だから、岡本かわいさのために湧いた拍手だったのだが、
当の岡本は、ギャラリーに激怒して、その場で「なんでそういう失礼なことをするのですか」
と涙ながらに抗議したことがあった。
岡本綾子も、実にマナーのいい立派なゴルファーだった。
宮里も、マナーの悪い自分を応援してくれているギャラリーに、
他の選手の邪魔をしないマナーをこころがけて!と言っていたことがある。
そういう人間の根幹をなす心を持っているアスリートに、
勝利の女神はチェックを入れておく。
米国ツアーに参戦して2年目だったか、絶不調に陥った後、
いろんなことを乗り越えてきた彼女だから、
しなやかで強靭なハートが備わったのだろう。
「勝つ準備はできています」は、重みのある名言である。
おめでとう!!