遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

祝今季1勝目/森田理香子

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女子プロゴルフツアー開幕3戦目にして、森田理香子がTポイントレディスで優勝。
おめでとう。


2013年の前半は絶好調のまま全英女子オープン(8/1~)に参戦した森田。
全英では、最終日は何とか71ストロークでラウンドしたものの、その前日のサードラウンドで86をたたく。 失意の森田は、帰国後のトーナメントで、明らかにバランスを崩したゴルフをしていた。 私は、2013年シーズンの森田は終わったと思ったし、もしかすると、全英女子オープンの影を将来にわたってずっと引きずるのではないかと心配していた。

そして案の定、8月の終わりには体調を崩してトーナメントを棄権する。そんな時、師匠の岡本綾子が広島の自宅に森田を招いた。岡本は、心身ともボロボロだった森田に畑仕事を手伝ってもらったという。二人は、早朝から地下足袋にもんぺ姿で、ジャガイモを植えたそうだ。師匠と弟子が無心に畑仕事に精を出したという。 師匠とのひと時を過ごし、森田は後半のトーナメントにまた参戦する為に京都に帰っていった。

その後シーズン最終戦まで、森田は横峯さくらとの賞金女王争いを繰り広げた。
エリエール女子オープンの17番ホールで決めた15mのイーグルパットは、2013年の全選手中ベストショットだったと思う。賞金女王レースのトップに再び立つことになる、奇跡の優勝を決めたロングパットだったからである。全英の影を払拭しきったパットでもあったからである。
この放送の解説をしていた岡本綾子は、パットが決まった瞬間、よっしゃー!とかなんとか発したまま、その後マイクに向かって声を出さなくなった。

翌週の最終戦で賞金女王を決めた日に、岡本は広島で森田と植えたジャガイモの収穫をしていたという。岡本は「ゴルフはどんなにテクニックを磨いても勝てる競技じゃありません。最後は人間性がものを言う」と言う。
岡本綾子のこの言葉は、ゴルフ以外のことにも通じると思う。 素晴らしい指導者である。

私には森田みたいな素直な美しい弟子がいないので、4月になれば一人でジャガイモを植えることにする。(すこし季節遅れか)