通常時、夜の部があるのかないのか知らないが、
19時からサマーレイトショー「天変斯止嵐后晴(てんぺすとあらしのちはれ)」
が上演されており、私ははじめての文楽鑑賞。
東京の国立劇場では9月にこの出し物がお目見えするようで、
18時30分からの開演とある。大阪の30分遅い開演が「レイトショウ」なのであろう。
それはそれはもう、とても楽しめた2時間であった。
若い頃NHKのテレビで見たことがあるが、それを思い出した。
風のように軽快で、心温まる悪戯でを見ていてなんだか幸せになってくる。
ファンタジーだから、そんな感じでいのだと思う。
妖精が空飛ぶ場面に使われる半琴の高音は、夢のように美しかった。
清治自身は、第五幕に登場し、たっぷり三味線を聞かせてくれた、
私はちょうど彼の目線の延長線上、距離にして数メートルの席にいたので、
目が合っているような気がして少し気になった。
ことほど左様に、彼の目線はまっすぐ前を見ており、
手元には一切目を向けないのである。
会場は、ここもやはり女性が多くを、8割がたを占めていたと思う。
そういえば、私の祖母も文楽が大好きで、
テレビ放送があれば必ず観ていたことを思い出した。
世代構成は、40代~50代の女性が一番多く、
その年齢ゾーン以上と以下の女性陣が、同じくらいの割合だったろうか。
誤解を恐れずにとても偏った見方で言うと、観客の美人の密度が高いのには驚いた。
それに若い人が意外に多かったのも驚きだった。
どこの芸者衆か知らないが、きれいどころを数人引き連れた旦那も見かけたが、
これまた、真摯に古典芸能鑑賞の目的しかない私の大きな偏見で、
そのような感想を持ったしだいである。
「人生は夢の如し。眠りに始まり、眠りに終わる。」
テンペストのこのテーマが、中世の九州の孤島に舞台を変えても、
色あせることなく、全七幕に満ち溢れたはつらつとした舞台であった。
8月5日まで公演中である。