遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

クワイア ボーイズ/BS世界のドキュメンタリー

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ロンドン交響楽団の青少年・地域合唱団の指揮者を務めるギャレス・マローン。


彼がランカスター校という男子校に赴任し、

「コーラスなんか女子のやるもんだ」と決めてかかっている、

現代の少年たちに歌の素晴らしさを伝授していく

英国TV局制作のドキュメンタリー番組「クワイア ボーイズ」。


この番組はいま4回シリーズで放送されていて、

すでに2回分放送済みとなった。



番組予告は以前から何回も見ていて、

これは見逃せない番組だと、楽しみにしていた。


先に企画ありきで、

ギャレスを男子校に送り込む企画で、合唱団を組織できるかどうかを、

記録に留めた番組だったようである。


私は音楽の時間やコーラス大好き少年だったから、

生徒たちのコーラスへの抵抗振りには驚いた。

ギャレスが赴任して挨拶代わりに歌を歌うシーンでは、

照れ笑いをかみ殺し、恥ずかしさに耐え切れない少年たちの態度が、

この指導者の先行きの大変さを予感させるものであった。



4回の放送で、ランカスター校の最初ひどかった合唱隊は、

ロイヤル・アルバートホールで歌うところまでに到達するようなのだが、

その軌跡が実に面白い番組である。


何よりも、ギャレス・マローンという若い指導者が、

熱血指導の限りを尽くし、

子ども達に合唱の楽しさを体験させ、

音楽の偉大さを実感させていく過程が実にドキュメンタリーである。



コーラスの最初に選んだ曲は、スティングの曲であり、

ソロのオーディションで少年たちの歌う曲は、

何でも有りの自由闊達さなのである。


男子校のその実にあっけらかんとした校風や、

子ども達に音楽の素晴らしさを分ってもらおうという指導者の熱い思いや、

校長先生の威厳があり愛情がある生徒達への眼差しや、

他の教師達の合唱隊への協力する態度の微笑ましさに、

わが国の小中学生やその親たちは、羨ましく思うべきであろう。


わが国の父兄なら、コーラスなんかに力を入れている学校には、

「もっとお勉強に時間を割いてください」と、

クレームをつけるのだろうな。



まだ4回シリーズのうちの2回しか見ていないが、

先生も生徒も親御さんも、ぜひ見ていただきたい番組である。