遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

プライベート・ライアン/スティーヴン・スピルバーグ

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  プライベート・ライアン  Saving Private Ryan


監督 スティーヴン・スピルバーグ
製作 イアン・ブライス
    マーク・ゴードン
    ゲイリー・レヴィンソン
    スティーヴン・スピルバーグ
脚本 ロバート・ロダット
    フランク・ダラボン
音楽 ジョン・ウィリアムズ
出演 トム・ハンクス
    エドワード・バーンズ
    マット・デイモン



1944年連合軍はフランス・ノルマンディのオマハビーチに上陸した。


この映画は、その上陸シーンから始まる。

よく見ると、バーバリーのトレンチコートを着た、

従軍カメラマンのロバート・キャパがいるかもしれない(ジョーク)。


その上陸作戦のメンバーに、トム・ハンクス扮するミラー大尉もいた。


ミラーに下った命令は、

ジェームズ・ライアン2等兵(マット・デイモン)を探し出し、

故郷の母親の元へ無事帰国させよ、

というもの。


ライアンの兄3人は戦いで命を失い、末っ子の彼を母親に届けるために、

ミラー大尉を隊長とした、8人の部隊が行方知らずのライアンを救出に行く。

ストーリーはそれだけ。


ライアン家の血を絶やさないために、ジェームズを救出する。

その人道的な米軍の規則に感心したが、

一億総玉砕精神で太平洋戦争を戦っていたわが日本軍には、

そんな規則があったとは到底思えない。


少しコミカルな水木しげるの漫画と違って、

この映画での戦闘シーンは実にリアルである、

シリアスである。

いたたまれないほど、逃げ出したくなるほど、

気温で表現すると40.9℃級の気の遠くなる、

生々しい緊迫感のあるシーンが随所に在る。



入隊するまでは、故郷では普通に仕事に就いていた若者が、

ドイツ軍相手に、見知らぬ土地で地図だけを頼りに救出作戦を敢行する。


ライアンを救出するという意味ある行動とは裏腹に、

戦場に立つ若者達の無意味な不条理な戦いに、

悲しいため息を禁じえない。



たとえば「アラバマ物語」の人道的な弁護士

アティカス・フィンチのようなヒューマンドラマの主人公を演じてもぴったりだろうし、

(現に「フィラデルフィア」や「フォレスト・ガンプ」で実証済みであるが、)

また、このミラー大尉のようなハードな役を与えられても、

すんなり演じてしまう名優である。

私の好きな俳優である。


スピルバーグは、1998年度のアカデミー監督賞を、

この作品で受賞している。