P・デュークは、そこそこ歌って演じられるTVアイドルであった。
1970年代後半、リバイバルで映画「奇跡の人」がロードショー上映され、
私はもちろんのこと、映画館に足を運んだ。
「奇跡の人」
製作年度 1962年
監督 アーサー・ペン
原作・脚本 ウィリアム・ギブソン
出演 アン・バンクロフト 、パティ・デューク
三重苦の障がいを持った少女ヘレン・ケラー役が、パティ・デューク、
その家庭教師「奇跡の人」アニー・サリバン役が、アン・バンクロフト。
それぞれ、当時のアカデミー賞助演女優賞、主演女優賞の栄誉に輝いた。
1959年にこのふたりの女優で舞台「奇跡の人」を演じ、
それが好評で62年にアーサー・ペンが映画化したのである。
(A・ペン「俺たちに明日はない」 http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/33583563.html)
「卒業」のアン・バンクロフトは、若いダスティン・ホフマンを誑(たぶら)かす
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/20677149.html
ミセス・ロビンソンを好演。
それに先立つこと5年、この「奇跡の人」では、
世界中に感動を与えた熱演。
アンもパティもこの作品の印象が強烈過ぎたのか、
その後、この作品を凌駕するものに出会えていない。
殊にパティはTVアイドルの後は、自然消滅といった感がある。
しかし、成長したパティ・デュークがTVでアイドル・スマイルを振りまいていたのを、
先に見ていた私にとって、遡って見たこの映画のパティの演技はすごいものであった。
オスカーの助演女優賞、まったく異議はない。
そして、不幸を背負って生まれてきたヘレンの幸せのために、
バトルを繰り返しながらも気の遠くなるような忍耐で、
ヘレンに接したサリバン先生に、そのサリバンになりきったバンクロフトに、
若い私は深く感動した。
このふたりの女優の鬼気迫る名演技は、決して自然消滅することはない。